第181話

〔大西風雅〕ジンクスは君と
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2021/10/08 09:32


『はぁっ、、、。』




友達「ちょっとあなた!! せっかくの体育祭だっていうのに、溜息なんてつかんといてや!」




『せっかくのって、、。私は体育祭なんてやりたくないねんもん!』





友達「もぉ~、まだそんな事言ってるん?笑 文句言ってないで早く行くで!! 」







今日は、年に一度の体育祭の日。




小さい頃から運動が苦手な私にとっては、物凄く憂鬱な1日やけど




高校最後の体育祭っていうだけあって、クラスの皆は、今年は一段とやる気満々で。






友達「…っていうあなた!! 風雅くんに、ちゃんと " はちまき " の事言ったん?」





『…えっ、! あ、いや、、えっと…。』





友達「その様子やとまだ言ってないんやな?笑 早くしないと、風雅くんモテるんだから他の人に取られちゃうかもよ?」





『それは…っ、!!!』





「誰が何を取られるって?」





『…っ!! …風雅くん、、!』




友達「あ、じゃあ私はクラスの応援行ってくるから! 後は2人でごゆっくり~」




『え、、? あ、ちょっ、、!』







" 頑張るんやで!! " …なんてそう言って、友達がグラウンドの方へと行ってしまえば




教室に残ったのは、私と風雅くんだけで。







「…んで、何を取られるって?」




『えっと、、ほら! アイス!! 先生がクラスに差し入れって買ってきてくれたやろ? 早く取りに行かなきゃ他の人に食べられちゃう!、、って?』





「アイスって、、笑 なんかあなたらしいな、笑」




『…へっ、、?』




「前に甘いもの好きって言ってたやろ? だからあなたらしいなって、笑 それに、俺はてっきり " はちまき " の話かと思ったし?笑」





『…っ、! 、、風雅くんも知ってたんだ、、。』





「…ん、まあ一応、?」







…私たちの学校には、体育祭にまつわる





" 恋のジングス " がある。




その内容が、" 好きな人とはちまきを交換すれば、その恋が実る " なんて、そんな内容で。








「…あなたは、さ! もう誰かとはちまき交換とか…したん、、?」





『…っ、! ううん、してないかなっ、。 …ふ、風雅くんは、、?』





「俺も、誰とも交換してへんよ。 …でも」





『…でも、、?』





「交換したい人は居る、…かなっ、」





『…っ、!、、そっ、、か…! …じゃあ、その人と交換出来るといいね!』









風雅くんが、まだ誰ともはちまきを交換してへんことに安心したのもつかの間。





交換したい人がいる、…なんてそう言われてしまえば、私の失恋は確定で。







『…じゃあ、私もそろそろクラスの応援行くね! 風雅くんも競技頑張ってね、!』







…なんて。




これ以上風雅くんの顔を見れば、苦しくなって涙が溢れてしまいそうで。




想いが溢れ出す前に、急いでこの場を離れようって




…そう思ったのに、、、








「待って!!」




『…っ、!』






私が教室から出ようとすれば、後ろから風雅くんに腕を掴まれて引き止められて。






「俺が、、! …俺がはちまきを交換したい相手は、あなたやからっ。」





『…えっ、、?』





「俺、ずっとあなたの好きだったんや。だから、、…だからあなた。俺と、はちまき交換してくれへん…?」







目の前に差し出されたはちまきと風雅くんからの告白に




嬉しくて、涙が止まらなくて…







『…うんっ、、! 私も風雅くんとはちまき交換したい…!』






なんて、涙ながらに私がそう言えば








「…あなた、こっち。」





『へっ、?』





「ええから、早く!笑」






風雅くんに手招きをされて。









「…ん、よしっ!…これで、あなたは俺のって印やから。」





『…っ、!』







…なんて。




優しく微笑みながらそう言う風雅くんに




やっぱり好きやな、…ってそう思って。






「…じゃあ、俺達もそろそろ行こっか、?」





『うんっ!』







私の頭に巻かれた、風雅くんの白いはちまきと





彼の頭に巻かれた、私の真っ赤なはちまき。





ぎゅっと手を繋ぎながら、2人でグラウンドへと向かった私達が付き合うことになるのは。





体育祭が終わったあと。





夕日が差した、放課後の教室で。













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