ふと目が覚めたら、道路に横たわっていた。
立ち上がったつもりなのに、いつもより道路がやけに視界から近い。
どういう事だ?
両足で立ったつもりなのに、何故か手が地面から離れない。
手に視線を移したのに、自分の手が見当たらない。
見えるのはやけに毛むくじゃらな小さな猫のような前足だけだった。
道路の端に捨てられていたダンボールに身を寄せて混乱しているアタマをなんとか冷静にさせた。
俺は人間だよな…?なんで猫?どうしてこうなったんや…思い出せ…
何とか思い出せたのは、夜遅く帰宅する途中に猫に会ったことだけだった。
水溜りを覗き込むと、猫になった自分が映っていた。
(あん時の猫にそっくりや!
どうやって家に帰ればええんやろ…。
ここ、どこや?)
段々風が強くなってきて、いくら毛皮のコートを着ているとはいえ、慣れていない寒さを感じた。
ダンボールが幾らかの寒さを凌ぐ壁となってくれていたが、寒空の下というのは変わらなかった。
おまけに雨も降ってきて、小さな身体の体温を着実に奪って行った。
(あかん、眠くなってきた…。これ、寝たら死ぬパターン?)
ぼーっと横たわって雨を見ていると、大きな影が俺と雨を遮った。
そこで、眠気と寒さに負けた俺は意識を手放した。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!