私_銀条シャチは、今、とても憂鬱な気分だ。
なぜなら…
私の鞄がどこかに行ってしまったのだ。
図書室に行っていたら、その間に消えていた。
その鞄は母が誕生日にくれたもので、お気に入りだった。
1人で学校全体を探すのは、さすがに骨が折れる作業だ。
先生や友達に手伝って貰えばいい、と思うかもしれない。
だが、私にはそういう手段をとることができない理由があった。
私は、”いじめられている”からだ。
いじめっ子以外のクラスメイトや先生までもが、見て見ぬふりをしてきた。
今回もきっと”いじめ”の一環だ。私は教室の外にあのカバンを出していないのだから。
だから、誰も頼れない。
と、ある場所をのぞき込む。
私のカバンが、びりびりに引き裂いて捨てられていた。
そこは…
焼却炉。
そう思うと同時に、強い怒りが込み上げてきた。
ただ、いくらなんでもこれを拾い上げることはできない。
処分は…したくないが、教師に任せるしかない。
鞄の代わりに悔しさを胸いっぱいに抱きながら、教室へと戻った。
途中、職員室によって、カバンの件について話してから教室に戻ると、
私の机に
「バカ」「弱虫」「チビ」「ガキ」
…暴言が書かれていた。
思わず担任の方を見る。
気まずそうに目をそらされただけだった。
周囲を見ても、ニヤニヤしているか、担任と同じように目をそらす人しかいない。
涙をこらえながら、席に着く。
私も昨日のページを開こうとする。
だが、開くことができなかった。
ページが、破りとられていたから。
そんな風に、今日は私の地獄が終わる。
結局、カバンは修復不可能な状態で、処分してもらった。
机の文字は、油性マジックではなかったおかげで、ぬらした雑巾でふき取ることができた。
家に着いた。だからって、いじめられたことが変わるわけでもない。
今日も武道を習わないといけない。
強くもなれないのに。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。