第2話

はじめての出会い
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2026/07/28 09:53 更新
冷房がようやく効いてきて、蒸し暑かった店内も少しずつ快適になってきた。

歩夢と私は、開店前の掃除を黙々と進める。

その時だった。

カランカラン。

『おはようございます。』

入り口のドアベルとともに、落ち着いた声が聞こえた。

「ん?」

まだ開店前の時間だし、お客さん……?

そう思いながら入口へ向かうと、そこには一人の男性が立っていた。

髪は寝癖がついたままで、家を飛び出してきたようなラフな服装。

(でも、肌めちゃくちゃ綺麗……じゃなくて、この人さっき店長が言ってたヘアメイクのお客さんかな?)

「あの、まだ開店前なんですけど……ヘアメイクで来られた方ですか?」

『はい。この時間に来てって言われたんですけど。』

「かしこまりました。ご案内いたします!」

そう言って案内しながら、私は思わず横顔をちらりと見る。

(……この人がアイドル?)

画面の中にいるようなキラキラした姿とは違って、どこにでもいそうな、寝起きの青年にしか見えなかった。

「こちらのお席で少々お待ちください。」

部屋を出ると、待ってましたと言わんばかりに歩夢が駆け寄ってくる。

歩夢「あなた!どうだった!?」

「どうだったっていうか……店長まだ来てないけど大丈夫なの?」

歩夢「あ……。」

歩夢の表情が固まる。

「とりあえず連絡しないと。」

そう言った瞬間――

カランカラン。

店長「やばいやばい!あ、二人とも、おはよう!」

額に汗をにじませながら、店長が勢いよく店に飛び込んできた。

歩夢「おはようございます!」

「店長、ヘアメイクで来られた方、別室にご案内してあります。」

「おー!さんきゅ!」

それだけ言うと、店長はそのまま慌ただしく部屋へ入っていった。

その様子を見送っていると、再び入口のドアが開く。

雫「歩夢、おはよう!」

「しずく!おはよう!」

入ってきたのは、私たち三人の同期の一人、逢沢雫だった。

でも、どこか様子がおかしい。

暑さのせいなのか、顔は少し疲れていて、ぐったりしているようにも見える。

「しずく、大丈夫?どうかしたの?」

雫「さっきまで店長と一緒に走ってきたの。」

肩で息をしながら雫が苦笑する。

雫「駅で偶然会って、『今日からヘアメイクの仕事だから、もう来てるかも!』って店長が焦り始めてさ。つられて私まで走っちゃった。」

「あー、なるほどね。」

思わず笑ってしまう。

雫は息を整えると、目を輝かせながら聞いてきた。

「てかさ、今日ヘアメイクに来るアイドルってM!LKなんでしょ?二人は見た?」

「俺は掃除してたから見てない。でもあなたが案内してくれてた。」

「えっ!あなた、どうだった?」

「どうだったって言われても……。」

私はさっきの男性を思い浮かべる。

「朝早かったから寝起きっぽかったし、普通の人って感じだったかな。そもそも私、あんまり顔知らないし。」

その瞬間。

雫・歩夢「えっ!? あなた、M!LK知らないの!?」

歩夢と雫の声がぴったり重なる。

「え……二人とも知ってるの?」

どうやら、知らなかったのは私だけだったらしい。

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