前の話
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その日、ボクは誕生日だった
いや、正確には熱斗くんと彩斗の誕生日
ボクは死んだ彩斗のコピーに過ぎないけれど、皆お祝いしてくれて嬉しかった
家ではパパもいて、家族でケーキを食べたりした。ボクはいくらコピーロイドって言うバーチャルのボクらが現実世界に来れる素敵なロボットを使っても食べる事は出来ないから、熱斗くんの口いっぱいに頬張って飲み込む姿を見てるだけ。それでも十分無いはずの胃が満たされた
優しくその白くてふわふわした塊を取ってあげると熱斗くんは擽ったそうに目を閉じる
普段はロックマン呼びの熱斗くんも、今だけは生前の名前で呼んでくれる。指にすくったクリームを食べられないからと熱斗くんの前に差し出すとボクの指からペロリと舐めた。お行儀は悪いけど今日ぐらいは許してあげてね、ボク
その後はパパが新しいチップをあげたり、ママからも新品のローラーシューズを貰ってご満悦な熱斗くんは疲れちゃったのか直ぐさま寝てしまった
静まり返ったリビングにパパの一言が過ぎった
嬉しい。変わり果てても尚ボクをちゃんと子供として見てくれて涙は出ないけれど、込み上げてくるものはある
ダメ元で出したお願いはすんなりと通った。これが誕生日の力ってやつ………かな?でも、それよりも嬉しいなっ!!
今からでも待ち遠しい程だよ!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。