私はよく考えることがあるんです
それは愛と云う感情についてです
私自体愛を感じて育ったとは感じません
皆、親の愛を感じて育つ
ですが私は親から名前を与えて貰えませんでした
父からもお前呼びでしたし、名字すら分かりません
では『何故名前を名乗れるのか?』と思いますよね
偽名ですよ偽名
分からないのに名乗れるはずないでしょう?
名前は親からの最初の愛とか云いますよね
私はその愛ですら貰った事がありません
しかも私が相手したおじさん達だって私の体ばかりで愛になんて微塵も興味を示しませんよ
今の私はあなたと云う名で生きているのです、それだけで十分でしょう
またあの人達も他の客と一緒ですぐ飽きたら捨てる
まるでゴミのように……
ちょっと前、私日本に帰りたいって言いましたよね、何故だと思います?
私の生みの親を殺したい
まぁつまり父を殺したいのです
勿論、お腹の子がいる状態では殺す事が出来ません
なのであの人達を使うのです
まぁあの人達が同意してくれればの話ですよ
先は長そうですね
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!