第4話

4話
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2025/09/03 14:43 更新
「こいしちゃん!ごめん、おまたせ!」

「遅いよー、もう」

前回に決めた約束の時間より、遅くやってきたあなたを見て、眉を下げる。

「何か、ここがどこにあったか場所を忘れちゃってて……」

周りが鬱蒼とした森で囲まれているこの空き地。

普通なら迷っても仕方のない場所だけど、昔からここで遊んでいるのに、忘れるなんてことあるかな?

まあいいや。

「実は、伝えたいことがあってね!」

パッと華やぐあなたの表情。早く次の言葉を紡ぎたいと開かれる口。

「ついに、自分の小説が出ることになったんだ!」

「ええっ。よかったねー!」

数年前のあの日、私が手伝ったおかげなんだからね。と、心の中で得意気に呟く。

しかし、あなたは申し訳なさそうに声のトーンを落として言う。

「それで、新人として注目されるために、大作を書き上げないといけなくて……当分ここには来れないかもしれない」

「そっかぁ」

おそらく私の誕生日までには完成すると思う。と語るあなた

「じゃあ、約束しよ。その小説ができたら、一番に私に見せてね」

「分かった。一番はこいしちゃんに見せに行くね」

周りを照らす程の満面の笑みで、あなたは快活に返事をしてくれる。

いつからだっけ。いつも約束をする時は私があなたを見下ろしていたのに、今では自分が見上げる側なの。

心は無くしたはずなのに、こんな気分になったのは久しぶり。

自身の第三の目の目蓋が、震えた気がした。

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