前の話
一覧へ
次の話

第1話

day.35
1,874
2023/10/16 11:00











その日の夕方。


くたくたになった私と、すこぶる快調になった傑を見て__




家入 硝子
家入 硝子
よく頑張った、あなた…




そう言って、硝子はあっさりと帰宅許可を出した。


むしろ、早く帰ってくれと手を振っていた。

















傑の呪霊で家に帰り、ベランダに降り立つ。


久しぶりに2人で帰宅した我が家。


ずっと一人だったから、嬉しくてニヤけてしまう。






窓を開けて、室内に入る傑。


それに続いて、私も入ろうとしたが___





突然、傑が動きを止めた。


傑の背中に思い切り顔をぶつける。





あなた
ぶっ!
夏油 傑
夏油 傑
…!





鼻を摩りながら、目前の大きな背中を見る。


何となく、不穏な空気を察して__


恐る恐る、背後から傑の顔を覗き込んだ。




あなた
!?





傑の眉間に深い皺が寄っている。


たぶん、怒っていると思う。


怪訝そうに足元のフローリングを見つめている。






夏油 傑
夏油 傑
ねぇ__


あなた
な、なに…



夏油 傑
夏油 傑
恵、来た…?

あなた
!?





え…


な、なんで分かったの…





背後の私を、ギロッと睨む。


見に纏う空気に殺気が混じってる。




あなた
ひっ!?

夏油 傑
夏油 傑
恵と何してたの?
あなた
別に何も…!
話してただけだよ…!
夏油 傑
夏油 傑
ふーん…
あなた
ほ、ほら…!
身体の関係は無かったとか…!
色々話して解決に至ったというか…!
夏油 傑
夏油 傑
へぇ…



疑いの眼で私を見る。




夏油 傑
夏油 傑
まさか…
愛の巣にまで侵入してくるとはね…





いや、愛の巣って__



あなた
そ、それより、
何で分かったの?
夏油 傑
夏油 傑
残穢だよ。
恵の残穢がある…
あなた
残穢?
夏油 傑
夏油 傑
ここで術式使った?
術式を使えば、その痕跡が残るんだ。





あー、そう言えば…


記憶を思い返す。



あなた
高専に急ぎたいって頼んだら…
式神で送ってくれたの。





そう伝えれば、諦めたように吐息を漏らす。




夏油 傑
夏油 傑
まぁ__
私の元へ送り届けてくれたし、
この件は不問とするか…





傑が私の手を引いて室内に入る。


そのまま傑は浴室へ向かおうとする。




夏油 傑
夏油 傑
おいで__
一緒に入ろう。
あなた
え…
夏油 傑
夏油 傑
いっぱいしたから、
いっぱい汗かいただろ?




そう言って、ニヤリと口角を吊り上げる。


何か、目論んでいる感じだった。



あなた
いいけど…
何もしないよ…?

お風呂は…
ゆっくり入りたいもん…




控えめに言えば__




夏油 傑
夏油 傑
保証はできないけど、

もし、何かしたら__
お詫びに身体洗ってあげるよ。

あなた
(それ…お詫びだろうか…)




傑は楽しそうに笑っていた。














プリ小説オーディオドラマ