隣でエリーが身体を伸ばし、あくびをしている。パーティーのようなものに疲れはつきものだ。辺りはすっかり静かな闇の中である。
苦笑しながらエリーの肩をつつく。
程良い酔いを夜の冷たい風が吹き飛ばしてくれる。それが心地よい。
またこの話題か。
私はあの人の顔を思い浮かべた。いつでもどこでも噂の的で疲れそうだな、なんて他人行儀なことを考える。
何故か誇らしげな表情をするエリー。彼女の恋愛話に対する熱情といったら、何と表せばよいのやら。
アラスターが恋人持ちなのには驚いたが、別に意外なことではない。それは誰もが思っていたことだと思う。
20代後半の女性……。もしかして、ラジオ局の人でひょんなことから付き合ったとか?
いろんなパターンを考えてみるが、どれもしっくりはこない。アラスターが恋愛をするのもどこかしっくりこないが。
エリーと別れ、一人で静かな街路を歩く。風邪で木が揺れる音が邪魔にも聞こえるし、心地よくも聞こえる。
私はアラスターの目を忘れられなかった。あの睨むような、殺気を含んだようなあの目……。
もしかして、それだろうか?私がアラスターに関することを過保護の親のように心配する理由は。あの目が、私をどこか不安にさせるのだろうか?
誰に対しても平等に笑顔を振り向く彼が今日、私を睨んだ。何も心当たりないのが悲しくなってくる。
右の角を曲がれば家だ。私は今までの、考えを捨てて軽々と曲がりかけた。その時、
ドンッ
誰かとぶつかった。肩を手で抑え、相手にお辞儀する。
……。
頭を下げたまま数秒が経つ。相手からの返事がなく、もしかしたらとんでもなく怒らせてしまったのかと疑問に思い出した時、予想外の声が聞こえた。
私の近所に小さな公園がある。
ベンチが2つほど並んでいて、滑り台とブランコ、砂場がある小さな公園。子供たちが時々使用している。
その公園のベンチに私とアラスターは腰掛けていた。
何だか気まずい。せっかくすれ違ったのだから少し話でもしていこうということで、今に至る。話なんてすることはないが。
突然な質問に拍子抜ける。
アラスターが私をからかってくる。少しムッとしながらも、それは場の緊張を慰めるための彼の気遣いだと気付いた。何だか気を使わせてしまって申し訳ない。
私意外とすぐにエリーと帰ったので、あの後アラスターがどうなったのか知らないのだ。
やけに「は」を強調してきた気がする……。
思わず疑問に思ったことを口走ってしまう。あまりプライベートなことを聞くつもりなかったのだが……。
ビジネスの相手をアレ扱いしても大丈夫なのだろうか?
やっぱりラジオ局の人か……。私は妙に納得した。
少し残念だ。エリーとお祝いがどうのこうのと話していたのに。
まただ。アラスターがあの目で見つめてきた。
それは数秒の間で、またすぐいつものアラスターに戻った。不快感や恐怖心を覚える。
できるだけ笑顔で応える。
それを見て、アラスターは無言でベンチから立って私の前に手を差し伸べた。
本当に拍子抜けてしまう。
アラスターと踊るのはいつぶりだろう?しかも、ここは公園だ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。