ピンポーン
今の俺とは対象に
軽々しく鳴るチャイム。
でも決めた事はやるしかないし
いつまでもこんな事で
子供の様に意地を張るわけにはいかない。
自分の為、相手の為、将来の為。
《あら?竜弥君珍しいわね》
《今日はちょっと用事があったのよ
今、聞いて来るから待っててね》
インターホン越しに聞こえた声は
好きな人じゃなくて、好きな人の母親だった。
自分でも驚くくらい声が上擦って
昔みたいに親しく話せず敬語になる。
良かった、好きな人の母親で。
心の底からそう思った。
こんなガチガチに緊張してる姿何て
見られたくないし、見せたくない。
幼馴染やったのに、
まるで他人の様になって
幼馴染だって分かってるのに
まるで自分と同じように
気持ちを無視して生きてきた。
ぐっと拳を作って
ありえないくらい早鐘を打つ心臓に
ドンっと、さっき作った拳で胸を叩いた。
幼い頃の様に接する事なんて出来ない。
好きを自覚して、好きを諦めて
感情を消そうとしてた俺が出来る事なんて
限られてる。
限られ過ぎてる。
何て考えてると
家の中からドタドタと音が聞こえる。
玄関前で止まったと思えば
チェーンを開ける音が聞こえて
俺の心拍数が死ぬんじゃないかと
言うくらい上がる。
緊張をなかった事にしようと
頭をフル回転させる。
ガチャッ
さっきまで考えてた事が
頭から全部抜けた。
二人..そう言えば好きな人と
二人きりなんて中学生以来だ。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。