第12話

【12】
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2024/04/12 16:20
………
ゾム
……何してるの
ゾム………


いつもの生徒会室に行くと、そこには鬱がいた


髪をくるくるといじりながらスマホを見ている

あなたのこと待ってるの
ゾム
あなた?
ゾム
あなた、この前トントンに怒られたばっかじゃなかった?
えっ、なんでそれを…
ゾム
影で見てたから


そう言いながら、鬱の隣に座る

見てたの…!?…なんで助けてくれなかったのよ!
ゾム
いやいや、トントンめっちゃ怒ってたやんか…
ゾム
助けられる状況じゃないでしょ…
それはそうだけど……
でもゾムだったら分かってくれるでしょ
貴方だって私と同じような状況にいたことあるはずだし…
ゾム
まぁ……そうね…


ゾムも元々お金持ちのお嬢様というわけではない


私と同じように普通の庶民として生活をしていた人間だ


ゾム
だけど、あなたと仲良くしてどうするの?
ゾム
どうにもならないじゃない
そうね
でも生徒会に入れることなら出来るかもしれないでしょ
ゾム
っ、え、生徒会に入れる気なの?
もしもの話よ
ゾム
…………
ゾム
そもそも、あなたが生徒会入るのを承諾してくれても
ゾム
トントンたちが許さないでしょ
………
確かにね
だけど、もしそうなったとしたら私も真正面からぶつかるわよ


表情からして、本気なのだろう


本当にあなたのことを生徒会に入れたいことが伝わる

だからその時はゾムも協力してね
ゾム
…まぁ、その気になったらね
ちょっと!協力するって言ってよ
ゾム
私よりチーノとかショッピの方がいいでしょ
…チーノは良いとして、ショッピに関してはどちらかというとトントン側じゃない?



あの子はあいつが連れてきた後輩だし…。


金銭感覚もバグってるわよ………


ゾム
えぇ…。でもショッピはトントン側に付くと思えんけどなぁ


私と鬱お嬢様しかいないものだから、いつものお嬢様口調もだんだん外れていった

まぁこっち側に付かせるけど
ゾム
最初からその気なのね…
ゾム
でも、トントンだけじゃなくてきっとロボロも断固反対派だと思うわ
そう!ロボロが問題なのよ………



はぁ…というため息とともに腕を組む




ロボロは生粋のお嬢様である。
生徒会といっても皆が皆、生まれがお嬢様かと言われればそういう訳でもない


だけれど、ロボロとトントンに関しては、本当のお金持ちの家系に生まれここにいる



元々貧乏暮らしだった私とは訳が違うのだ



だから、庶民を軽蔑するのはまぁ…うん…
納得っちゃ納得っていうか…
ゾム
…………
ゾム
でも、さ
ゾム
私たちだって、今でこそお嬢様かもしれないけど
ゾム
庶民となにも変わりな、い…
しっ…!


ロボロ
…あら、ゾムお嬢様に鬱お嬢様じゃない
ゾム
っ!?
ご、ごきげんよう。ロボロお嬢様
ロボロ
ごきげんよう
ロボロ
今日は生徒会の集まりなんて無いはずだけど……何をしてらっしゃったの?
ちょっと用があっただけよ、ゾムとはたまたま会ったの
ゾム
そうそう…
ロボロ
ふーん………



少しばかり沈黙が訪れる



もしかして、会話聞かれてたのかしら…?

どうしよう、どう弁解すれば……


ロボロ
二人とも、私と帰りましょ
……え
ロボロ
…えってなんですの。嫌なんて言わせませんわ
ロボロ
私と帰りますわよ!
ゾム
……………
ゾム
…ロボロ、そろそろクラスの奴と馴染んだほうがいいんちゃう…?
ロボロ
なっ、なんですの!!!うるさいですわ!




図星だったのか、顔を真っ赤にさせ頬を膨らます



(こういうところは可愛げあるのにね……)



私たちが元々お嬢様でないこと、まだバレてないみたい



…………安心した






ロボロ
鬱お嬢様、早く行きますわよ
…あぁ、うん。今行くわ



ごめんなさいね、あなた

先に帰ってしまうけれど………







って、あなたは私の事なんて待ってなかったわね




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