第6話

第6話
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2026/08/08 11:00 更新






昨日まであれほど降っていった雨が上がった今日。学園の空気はどこか澄んでいた。


昼休みの教室、いつものように皆が集まり、賑やかに購買のパンを囲んでいる。



7
なぁ、そういえばさ。来週、抜き打ちの学力テストがあるって噂、ほんまなんかな?
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えっ、タカシくんそれどこ情報!? 俺、何も対策してないんだけど!
3
え、勉強しなきゃいけないの?
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リョウガくんはもっと勉強するべきだと思います笑
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まぁアロハくんが言えることでもないけどね!?

抜き打ちテストだなんて誰が言ってたんだよぉ、俺受けたくないなぁ。


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……ゆ…く…、ゆーきくん、ゆーきくん!!
5
うわっなに!?
12
いや、反応がなかったので…
5
俺そもそも抜き打ちテストあることすら信じてないよ?
2
だからって対策をしないのは違うよ?
5
あれ?

皆が笑い出した。

だって、別にあるかどうか分からないんだったら別に…する必要ないよね?


これは俺が常々思うことだけど、なんで抜き打ちテストなんてものが存在するんだよ!
勉強したくてもできないじゃん!!


と、毎回言い訳を並べる。



ちゃんと先生に相手されたことはないけど……










そんなことが頭に浮かぶ端で小さく何かが痛む感じがする。

ジンジンと俺の頭を殴りつけるようなそんな痛み。


別に誰かに言う必要のあるほどの痛みでもなければ、全然耐えることだってできる。

だから、できるだけ頑張ってみようと今日はルンルンで学校へ来た。

まぁ、あと数時間だし。

もうちょっとの辛抱だろうな。


3
よっ、ユーキ。ちょっとノート見せてくんない?
5
えぇ〜自分で取っててよねぇ?
3
起きてたし!多分…
5
まぁいいよ。どれ……?
3
……って、お前、顔赤くね?
リョウガが俺の額に素早く手を触れる。

リョウガの手って細いし冷たいって……ほんとにガイコツになるんじゃね?

そう思うが今はこの冷たさが気持ちよすぎてツッコむことなんて頭から等になくなっている。


5
ちょ、リョウガ……っ
3
熱あるじゃん。無理すんなって。ほら、保健室行くぞ。俺が連れてってやるから
5
いや、あと一時間程度でしょ?それなら俺行けるって!!

そう元気なことを証明するためにバッと立ち上がると、体重を足で支えられなかったからか、フラッとしてしまった。

それをしっかりキャッチしたリョウガ。

3
まだ何か言う?
5
……ごめんなさい


リョウガのその自然な気遣いと距離の近さに、有難さと申し訳無さを感じる。

こういうところは気づかれちゃうんだから…笑
それもリョウガだっただなんて。


ふざけているようにみえて、ちゃんと周りを見てられる彼だからこそわかったのか。
将又わかりやすかったのか。

俺にはわからないけれど、こんなことをしてくれるまでなんだから俺はいい友を持ったのだろう。
3
ごめんなさい、じゃなくてさ
5
……うん、ありがと。リョウガ、ちょっと肩貸して


リョウガに支えられて教室を出ていく。


タクヤにはバレてたのかな……

ばれて、ないといいな…












放課後。夕暮れの保健室は静まり返っていた。
ベッドで横になり、少し熱が引いてきた感覚があり、俺はゆっくりと目を開けた。

2
……起きた?
枕元にいたのは、カイだった。
5
カイ、ずっといてくれたの? ごめんね、ありがとう
2
別にいいよ、暇だったし。……あと、俺じゃなくて本当に来てほしい奴は別でしょ?
2
俺はその人からの命令で来ただけだからさ笑

頭がはたらかないのはいつものことだろ、なんて言われたらそれまでなんだけどそれ以上に動かない。

俺が来てほしいと思ってた人ってだれ?

カイがいてくれてとっても嬉しかったんだけど……


思うことはたくさんあっても言葉にするよりも先にカイが言葉を紡ぐ。

2
…今日だったよ、抜き打ちテスト笑
5
えっ
2
そうwwんで、俺としむしむとハル以外みんなアウトでしょ?
2
俺はみんなの補習待ち、だから『どうせならなぁ』ってここに来た
5
そうだったんだ……
どうやら、カイにとっても都合がよかったみたい。

確かに今の季節、ちょっと暑いのにエアコン入れてくれないからなぁ。
待つのには保健室が丁度いいか


と勝手にカイが言った理由について納得をしていると刹那
2
…っていうのは表向きの理由なんだけどっ!
表向き…?


表向きってことは裏になにかあるということなのだろうか、
そう思いカイに尋ねようとすると、


保健室の入り口のカーテンが、静かに開いた。



4
…



そこに立っていたのは、カバンを両手に持ったタクヤだった。

すでに放課後になり、他の生徒たちの気配はない。

4
調子どう?
5
あ、え……俺?
4
お前以外誰がいるんだよ


普段聞かないような口調で、珍しい感じに見えるタクヤ。


5
あ、うん!!元気になった!
2
病人いるからせめてひと言何か言ってから開けてよぉ、びっくりした
4
あっ、わりぃ
2
先生かと思った……


持っていた2つの鞄を地面に置き、タクヤがカイに向かって目を見つめる。

4
カイ、もうみんな帰るって。村田は迎えくるから支度しろって先生が言ってたから
5
あ、カイありがとうね?
2
いいよいいよ!彼奴等も結構時間かかっちゃってたんだね、大変そうだ。
……じゃあな、ユーキ

カイはひらひらと手を振り、俺等の空間だけが保健室に残った。


静寂が戻った室内に、タクヤの制服の衣擦れの音だけが響く。

タクヤはベッドの脇に歩み寄ると、すぐに膝をつき、俺の目線に合わせて見上げた。



その瞳には、いつもの冷静なタクヤではなく、痛々しいほどの心配が溢れていたのがわかった。

4
…隠されていたのですか
5
別に耐えれるかなぁって
4
いつも言っているしょう、耐えれるか否かの問題ではなくそれを我慢しようとするのがダメなのだと
4
何かあればすぐに相談して下さいとあれほど
5
うん、ごめんね?
4
……


ベッドから手を伸ばし、タクヤの制服の袖をそっと掴んだ。


何も考えずに、パッと無意識に出した手を俺は引き戻すこともしなかった。


そして、タクヤが振りほどこうともしないので俺は甘えることにする。




5
久しぶりだね、学校で話すの
4
屋敷に帰ると嫌でも会話しますよ
5
会話してくれないじゃん
4
…してませんか?
5
……タクヤの基準やばいよ
本当に久しぶり。


学校と屋敷ではやっぱり学校で話すほうが特別感があって俺は嬉しいし楽しいなって思う。

珍しく「村田」なんて呼んでくれるところとか、敬語じゃなくなる瞬間とか。


そういうのが「あっ普通の友達なのかも」と思わせてくれる唯一の瞬間。





こんなに話せるなら俺が我慢した甲斐があったかもっ。


そうまたニコニコとした顔をしていると「反省してないようですので…」としばらく説教を受けたのもまたいい思い出。




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