教室から飛び出したあと、私は一人、屋上の手すりに背をあずけて空を仰いでいた
放課後のこの時間は下校する生徒や部活に向かう生徒など廊下も校庭も人で賑わい、1人になれる場所が屋上しかなかった
夕焼けに滲んだ雲は、少し泣きそうな空の色だった
そして突然扉は錆びた音を立てる
そこからゆっくりと歩いてきたのはカナヲだった
カナヲは私の隣に来ると、屋上の柵を手に持ち、私とは反対向きに立った
カナヲは頬を少し膨らませて言う
告白したこと、蒼葉くん知られたくないかなとか
こんなこと話しても興味ないかなとか
色々考えてたら、なんとなく言えなかった
それから静かな時間がしばらく流れた
カナヲは待ってくれているようだった
私はずっと、ずっと、人を待たせてばかりだな…
……ちゃんと話したい
聞いて欲しい
ぽつぽつと纏まらない言葉をカナヲは隣で聞いてくれた
正直に
その言葉に喉がきゅっと詰まった
正直、素直、潔白
この辺りの言葉は私には合わなすぎる
自分に、親に、友達
いつも欺いて、誤魔化して
そんな私だから蒼葉くんの真っ直ぐな気持ちにも逃げ出した
カナヲはふわりと微笑む
そして私たちの間を風が吹き抜け、灰色の雲の間からわずかに光が差し込んだ
あまりにも穢れのない瞳でしばらく目を離せなかった











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。