もう有無を云わせない
口調の父の言葉に、
アツシは観念して返事をしようと
口を開いた
其の時。
今迄ずっと黙っていたあなたの下の名前(片仮名)が
怒声とも悲鳴ともつかない声で叫んだ。
“国の為”
其の言葉に、
あなたの下の名前(片仮名)は思わず怯んでしまう。
最早あなたの下の名前(片仮名)はきちんと言葉が出ない状態だ。
そんな華埜井鈴樂に、アツシゆっくりと
向かい合う。
涙をほろほろと零すあなたの下の名前(片仮名)と、
感情が表に出ていない、無表情のアツシ。
二人は暫く見つめ合い、
そして、アツシは意を決したように
王と王妃へと体を向け、
深く頭を下げた。
そう云って、アツシは誰の顔も見ずに
王座に背を向け、歩き出した。
後を追おうとしたあなたの下の名前(片仮名)。
だが、直ぐに大臣たちに
捕まってしまった。
必死に弟の名を叫ぶ姉に、
アツシは漸く振り返った。
今まで暴れていたあなたの下の名前(片仮名)だが、
アツシの顔を見た途端、
ぴたりと其の動きが止まった。
アツシは笑っていた。
何時もと変わらない、あの優しい笑顔をあなたの下の名前(片仮名)に向けていたのだ。
そう云って、アツシは去っていった。
王の間から、
王宮から......
.........王国から。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。