最近、ふと我に返った。
私の目標は、師範を振り向かせて伊之助を見返すこと。
ただ、それには抜けているところがあった。
振り向いてもらえていたとしても気づかないかもしれない。
普通、「振り向いた」って言う?そんなことは言わないはず。
でも、そんな経験したことないからわからない。
屋敷で休憩中の私は、相棒(カラス)の ” つむじ “ に尋ねた。
カラスと喋っていると、師範が帰ってきた。
そう言って私は手当の体制に入った。
…と言っても、止血して傷口を消毒するだけだ。
師範は目を逸らした。
最近、わかりやすい人になってきたものだ。
しかし、その後のハッとしたような顔はなんなのだろうか。
私は手当を終えた。
私のような者が師範に注意なんて!!
なんて無礼なことをしてしまったのだろう。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!