注意
オリビアさんが怪我します(軽い捻挫)
ある任務の日、猫を見つけて思わずオリビアが気を逸らした瞬間、敵から攻撃された。幸い、持ち前の素早さで攻撃があたることがなかったが、足を軽く捻ったようだった。本人は大丈夫だと言うが、大事をとって現在は休養中である。
「今ね、すっごく暇」そう言って椅子から立とうとするオリビアを、トウフが止める。オリビアは、動きたくてたまらない様子であった。
オリビアの見張り役に任命されたトウフが、きっぱりとオリビアの願いを断る。トウフの性格もそうだが、猫に気を引かれてしまって負傷、というのは、戦闘力エースとしては、心配なところだろう。
諦めた様子のオリビアと、安心した様子のトウフの間に流れる数秒の沈黙の後、コンコンコンとノックが鳴った。
入ってきたセレッサの頭には、猫が乗っていた。綺麗な白と黒の毛を持つ__ノルウェーの方の猫だろうか__猫が、乗っていたのである。
動物は、警察署内に持ち込み可能だっただろうか__そう口にしようとしたのだろうが、猫の可愛さにオリビアがそれを遮ってしまう。
なんでもないことを口にするかのようにさらっと言い、頭に乗った猫を持ち上げ、オリビアに渡した。猫は、されるがままの状態である。
猫アレルギーの人物は、役二十パーセントと、かなり高い。警察署内にも多くいると考えられる。そんな中、警察署内を猫を乗せて通ったとなれば、多少なりとも猫の毛が落ちていそうだ。症状がでないことを願うばかりだ。
季節や温度の変わり目は、抜け毛が多くなる。猫を膝に置いて撫でながら、自身の手や、周りをも毛だらけになってしまっていた。
パトロール後と思われるクライが、猫の毛に連られてやってきた。猫の毛の出所がここだとわかるくらいには、毛が多くなってしまっているようだ。
そうトウフが言うと、オリビアがとても名残惜しそうに猫を見つめるように俯いてしまった。仕事が忙しく、あまり猫と触れ合えていなかったため、どうしても手放したくないようだ。
一見、首輪もなにも着けていないため、野良猫かと思えるが、人間に触られることへの抵抗があまりなかったため、長期的に迷子になってしまっているという可能性も捨てられない。
渋々といった様子で立ち上がったオリビアを、やはりトウフが止め、猫を連れて行ってしまった。
唐突にそう言われ、オリビアは困惑した。確かに、既に深夜に近い時間帯になってはいるが、といったところだ。
そう言って、二人は電気をも消して、部屋を去ってしまった。
翌日の朝、流れに呑まれるまま部屋で一夜を過ごしてしまったオリビアの元へ、ナギリンが元気よくやってきた。
朝早い時間だったが、二方とも目がとても冴えていた。
続いてセレッサとクライが入室する。今日がオリビアの誕生日だからこそ、目が冴えていたのかもしれない。
オリビアは、嬉しそうに明るく笑った。
楽しく談笑していた中、思い出したかのようにセレッサが口にすると、オリビアの瞳が、キラキラと輝いた。
隊長__フェルトが、残業などが多く猫との時間をとってあげられていないのではと考え、猫を署内で飼うことを許可したようだ。
どこから取り出したのか、ナギリンはフェルトから受け取ったプレゼントらしきものをオリビアに渡した。
ずっと座ったままだったため、一応確認し、許可を得るとるんるんとした足取りで話した。
三人は、眩しい笑顔を放つオリビアを見送った。いつもとは少し違う、特別な一日の始まりである。
遅れました!!ごめんなさい!!
お誕生日おめでとうございます!久しぶりのノーマル世界線です。フェルトの親の創作物部屋なのにフェルトが出ていないという……主な理由はフェルトの吹き出しが寒色系だからです。構成員の方、暖色系多くないですか?というか全員暖色系。なので入りにくかったです。
これを書きながら、みなさんのアレルギーを知りたいなと思った今日。これで猫アレルギーいたらどうしようとか思ってます。
フェルトはかろうじて名前は出ました。あげたのは色々な機械やらなんやらが組み込まれた首輪です。二匹飼っているらしいので二種類。側にいなくても音声が聞けたりすれば、多少は気が逸れることはないと願って。戦闘中のところに猫がいること事態レアケースな気もするが、まあ置いていきましょう。
そんなこんなで雑イラストどうぞ。雷黄色でよかったのかな
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。