緑谷side
突然の轟音に目を見張った。
瞬きをする間もなく、さっきまであったはずの塀が吹き飛ぶ。
突如として訪れたヒーローのピンチ。
震え上がるほどの悪意に、
僕達は恐怖と威圧感で、その場に縫い止められた。
すると切島君が、ハッとしたように叫ぶ。
切島「緑谷!あなたさんに、電話!」
____そうだ。
ポケットの中、彼女の電話番号が書かれた紙の存在を思い出す。
震える指で、必死に発信した。
あなた「緑谷、場所は?」
怯える僕達とは対照的に、あなたさんは冷静だった。
緑谷「脳無工場です!発信機の示す場所!」
プツリ、と通話が切れる。
何も出来ない自分に、唇を噛み締めた。
その頃。
あなたは脳無の保管場所へと向かっていた。
夜を踏みしめ、スマホを片手にメッセージを送る。
『もう、見えるよ。』
そして、もう一言。
『 』
ヴィランを走って追うのは久しぶりだ。
今この瞬間だけ、ヒーローになれそうな気がした。
瓦礫を飛び越えた先にいたのは、
案の定、ヴィラン連合と___
……誰だ。あの男。
複数の“個性”を操り、ヒーローを圧倒している。
あれが会長が言っていた、AFOか。
殺してしまえば、脅威ではない。
______殺せれば、の話だが。
あなた「動かないで。」
夜の戦場の中心で、刀を構えた彼女は言った。
ヒーローでも、ヴィランでもない。
ただの人間。
それが、堺あなた。
______「怪物」である。
動けば、死ぬ。
言葉にしなくとも伝わる殺意に、その場は凍りついた。
死柄木「さっきの女か。」
「おい、荼毘はどこだ。」
あなた「距離は遠くないはず。」
「来るかどうかは、彼が決めること。」
死柄木「てめぇ、なんの“個性”だ。」
あなた「教えると思う?」
「無意味な質問はやめて頂戴。」
そしてあなたは、緑谷に電話をかけた。
張り詰めた静寂の中、着信音だけが響く。
その空気を切り裂いたのは______
ヒーローを目指す者達。
切島「来い!爆豪!」
彼らをあなたはただ、じっと見つめた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。