あなたの名字あなたside
また朝が来た。
極まりきった虚しさで何を思い出したって何を考えたって感傷的にしかなれない自分と息をする。
決して時は冷たい訳ではないのに。空気は何も悪くないのに。
私の吐いてる言葉も、溜め込んでる気持ちも、光を通さない心も、どこからどこまでが本当なんだってどこからが嘘なんだって、自分じゃわからない。
だってもう既に私は。
艶やかでありながらビビットな赤色のドス君の眼は私の感情を反射する。
私が消える方法なんて、ひとつしかない。
あれから一年、希望という名の晴れはこなかった。
誰も救ってくれなかった。誰も守ってくれなかった。
出来損ないで死に損ないの私は今日も息をする。
アンケート
男主人公の小説ってあったらよむ?
読みます
52%
読みません
48%
投票数: 25票
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!