ずっと……ずっと見てたよ
そう声を掛けられたんだ。突然のことだった、いつものように裏山の、あまり整備のされていない荒れた階段を1人駆け上がっていた時だった、女性かと思った、すらりと長く結い上げられた髪が風に揺れていて、変わり映えのないと感じていた日々には酷く魅力的で…美しくて……そう思わせたのかも知れない。逆光でよく見えないが、ふわりと眼前に現れたそれは、どこか嬉々とした色素の薄い桃色の双眼を此方に向けていた。
見た事のない制服だ、少なくとも近所じゃないのだろう、男物の制服が風に靡いていた目を引かれる、、制服が男物なのだからやはり男性なのだろうか…いや、ジェンダーレスが謳われる世だ、決め付けるのはよくないだろう、容姿のことはもう良いだろう……それよりも…『ずっと見ていた』??どこから?なぜ?ざわざわと、高揚感から一転悪寒が体に走っている。
左(長髪の男性?) 右(マサイ)
君…よく此処に来るよね?
え……はい。
やっぱり…ねぇ?僕とお話ししない?
意図が掴めないな…いつも来るって……なんで知ってんだよ……此処は……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。