第32話

サネの幸せを思って
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2026/01/24 11:01 更新


カンナは手術の日からずっと、サネの傍から離れなかった。


そして3日が過ぎ、サネの点滴の管が外れて柵の中に入る許可がでると、カンナはサネの傍にぴったりと寄り添うようになった。



カンナ
サネ、ご飯食べられるようになってよかったニャァね


カンナはサネの口の周りについたご飯の食べかすをぺろぺろと舐めて綺麗にしていた。


サネ
カンナありがとなァ、あァ、オレも早くカンナの毛づくろいしてェ
サネ
この首巻き邪魔じゃまったらねェなァ、
飯もうまく食えねェし


サネがうっとおしそうに前足でエリザベスカラーを
叩いていた。


カンナ
サネぇ、それとったら傷舐めちゃうからダメみたいニャァよ
サネ
それはわかってんだけどよォ


カンナはそっとサネに頬ずりすると、サネの体の毛づくろいを始めた。


傷のところは避けて、丁寧に舐めていく。


カンナ
サネ、傷はまだ痛むニャ?
サネ
だいぶ痛みは引いたなァ、
カンナとすみのおかげだァ


カンナはサネの毛づくろいをしながら幸せを噛みしめる。


元気なサネと、またこうして一緒にいられる事が何より嬉しかった。


カンナ
サネが無事で本当によかったニャァ、
サネがあのまま死んじゃったらと思うと‥‥
フニャァァ‥‥
サネ
‥‥カンナ、心配かけてごめんなァ
カンナ
サネぇ‥‥


カンナはサネにぎゅっとしがみつくのだった。











不死川玄弥
お!サネ、点滴も外れたんだな!
起き上がって元気そうだし、良かったぁ!
カンナ
ニャーン(‥‥あ、ゲンヤくんニャァ)
サネ
ニャゴニャーン
(ゲンヤァ、今日も来たのかよォ)


毎日夕方になると、ゲンヤはサネの様子を見にやってきた。


カンナ
(サネ、嬉しそうニャね)


ゲンヤが来ると、サネはとても嬉しそうだった。


今も穏やかな表情で、甘えるようにゲンヤの指を舐めている。


それは、サネが唯一、飼い主である人間に見せる姿なのだとカンナは知った。



カンナ
(サネは、ゲンヤくんが大好きニャァね)


そしてまた、ゲンヤの方もサネの事を心から想っているのが、接し方からひしひしと伝わってくるのだった。


カンナ
(‥‥私もすみちゃんが大好きだから、
サネの気持ちすごくわかるニャァ‥‥)
カンナ
(サネ、よかったニャァね)


カンナはサネとゲンヤの姿を見ていると、幸せな気持ちになるのだった。


不死川玄弥
お、かわいい猫ちゃん傍に置いてぇ、
サネもすみに置けねーな!
カンナ
ニャ!


ゲンヤがカンナの背を優しく撫でた。


不死川玄弥
俺、すみちゃんから聞いたんだ。
カンナちゃんがサネを助けてくれたって‥‥
不死川玄弥
ほんとにっ‥‥ありがとなっ‥‥


ゲンヤがカンナの頭を撫でながら泣き出した。


カンナ
ニャ、ニャーン!
(そんな!ゲンヤくんが泣いちゃったニャァ!)
サネ
ニャゴニャゴニャーン
(ハハッ、ゲンヤも泣き虫だなァ)


皆で和やかに過ごしていると、仕事を終えたすみがやって来た。


中原すみ
玄弥君、今日もお疲れ様、
サネくん元気になってきたでしょ
不死川玄弥
あ、すみちゃん、うん!ありがとな!
不死川玄弥
すみちゃんが治療してくれて本当に助かったよ
中原すみ
あともう1週間もすれば、
退院して通院でもみていけると思う
不死川玄弥
そっか!サネぇ良かったなぁ!
あと1週間したら退院できるってよ!
不死川玄弥
それまでに家の準備しとくからな!
一緒に帰ろうな!
カンナ
ニャ‥‥(え‥‥?)


ゲンヤの言葉を聞いたカンナは、思わず息を飲んだ。


カンナ
(‥‥そうニャァ‥‥サネは大好きなゲンヤくんと再会できたから‥‥)
カンナ
(これからは一緒に暮らすニャァね)


その事実はとても幸せなことのはずなのに、カンナの胸を締めつける。


カンナ
(‥‥サネと、もう毎日会えなくなっちゃうニャァ)




サネ
‥‥カンナ
カンナ
さ、サネ‥‥よかったニャァね!
これでサネも飼い猫ニャァ!
ご飯の心配もしなくてすむニャァ!


カンナは寂しさを隠すように、わざと明るく振る舞うのだった。



サネ
‥‥けど、飼い猫になっちまったら、
カンナに‥‥
カンナ
またすぐ会えるニャァ!
病院に来たときに会いに来るニャァ!




そう‥‥一生会えない訳じゃない‥‥。






サネの幸せを思うなら、サネが飼い猫として生きていく事が何より幸せなのだと‥‥。






カンナはそう心に言い聞かせるのだった。












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