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第8話

お前のために、お前らのために。
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2025/07/05 08:27 更新
本当に寝てたのか怪しいくらい目が冴えてやがる土蜘蛛が、オレの隣に腰をかけた。
土蜘蛛
土蜘蛛
大ガマ、お主を身内にしたのは──仲間のため、震えながらも吾輩に歯向かった、威勢のよいお主に、吾輩と共に戦ってほしかったからだ。お主の仲間を奪ったことは、今でも胸が痛むほど後悔しておる。今更だが、謝らせてくれ。すまなかった
あのしかめっ面が、過去にしたことを引きずって頭を下げている様が、オレには面白おかしく見えた。
大ガマ
大ガマ
ぷっ、あはははっ──もういいぜ、土蜘蛛。オレ、お前の過去を知ったら目が潤んじまってよ
土蜘蛛
土蜘蛛
大ガマ……
大ガマ
大ガマ
もう頭上げろよ、土蜘蛛。お前もつらかったんだろ。あいつらには、オレがもっと強くなって、この町の平和を守り続けるところを見守り続けてもらうんだ
ゆっくり頭を上げた土蜘蛛は、目を閉じて、微かに笑みをこぼした。
土蜘蛛
土蜘蛛
ああ。ありがとう、大ガマ
お前ら、見てるか? お前らはきっと、こいつのことをいつまでも恨み続けちまうんだろうけどよ、オレはこいつについて行こうと思うんだ。この町を守るだけじゃねぇ。これは、お前らの仇でもあるんだよ。だから、土蜘蛛のことも、オレのことも、許さなくていいから見守っててくんねぇか? 約束する。ぜってぇ強くなって、いつかはこの手で凶悪妖怪を──だから今は、安らかに眠っていてくれ。
こうして、オレと土蜘蛛は、今まで以上に強くなるために、毎日修行に励んだ。

妖怪としての力を手に入れるために、あいつらのことを想いながらオレが命を落としたのは、また別の話。

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