”この出来損ないめ”
私が覚えてる幼少期の記憶の中で一番初めに言われた言葉だった。
私がこの時に歩くことも言葉も発せなかったからだ。
その時の私はこの言葉を理解することが出来なかった。
可愛らしくて、成績優秀。
多彩で色々な方面で賞をよく取っていた。
…私の姉は違った。
私は…褒められたことがなかった。
父親は…?
父親は知らない。
私が生まれた時にはいなかったらしい。
名前も知らないし、どんな人かも分からない。
でも、母親と私たちを捨てたことに対しては怒りを感じている。
父親がいれば、私も愛されたかもしれないのに。
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学校から帰ってきた。
返事がないのはいつもの事だった。
でも、玄関に転がっていたのはいつもと同じじゃなかった。
呼びかけても返事しない。
心の中がまっくろになった。
どんだけ酷く接せられてても、母親のことは好きだった。
もちろん姉のことも。
それから先は、覚えてない。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。