慌てて僕を引き止める声を無視して
無理矢理テヒョンイヒョンをベッドに寝かせる
僕は焦っていた
ど、どうしようっ…
まずは冷えピタ?
でも飲み物が先?
栄養あるもの食べたほうがいいかな?
僕は部屋を飛び出してキッチンへ向かった
…………
あんなことを言って飛び出してきたわけだけど…
僕、料理得意じゃないんだよね…
とにかくテヒョンイヒョンに楽になってほしくて、
咄嗟に言っちゃった…
でも言ってしまったことはもう取り消せない
2階の自室にいるテヒョンイヒョンに
この声が届くことはないけど、
僕は声を出して宣言をした
お粥って、
お米をふやかせば簡単にできるものだと思っていた
だけど大間違い
味付けとか火加減とか難しい…
あれ、僕が下手なだけ…?
僕の目の前にあるお鍋はぐつぐつと音を立てていて
中にはお粥なのかどうかもわからない物体が揺れていた
僕は小皿にほんの少し作ったお粥を盛り付ける
スプーンですくって舐めてみた
…まぁ、向き不向きっていうのがあるよね
僕には向いてなかったみたい
僕は落ち込む
落ち込んでる暇なんてなかったのに
突然、僕を焦げ臭い匂いが包み込んだ
嫌な予感がして鍋を見る
そこで気がついた
火を止めずに味見をしてたことを
やばいっ…!
僕は慌てて火を止める
だけどもう、遅かった
鍋の中にある物体はまっくろこげ
と、とりあえず水につけたほうがいいよねっ…?
僕はお鍋に手を伸ばす
僕は本当に間抜けだった
僕がお粥を使っていたのは土鍋
持ち手の部分を素手で持つととんでもない火傷をする
そんなことわかってたのに
ガシャンッ!⚡
馬鹿な僕は土鍋を素手で掴んでしまった
そして熱さに耐え切れず、土鍋を落としてしまった
土鍋は粉々に割れ、
割れた破片は僕の腕を浅く切り裂いていた
ごめんなさいっ、テヒョンイヒョンっ…
僕の心は涙と反省でめちゃくちゃ
もしこのお鍋がすごく大切なお鍋だったら?
もしこのお鍋が貰い物だったら?
僕はとんでもないことをしてしまった
泣いている暇なんてないのに、涙は溢れてとまらない
僕がヒョンになるなんて無理だったんだ
なのにあんな偉そうなこと言って…
テヒョンイヒョンのお鍋割って…
僕、最低だ
すると突然、2階からものすごい音がした
誰かがベッドから飛び起きたみたいな、
階段をものすごいスピードで降りて来ているのが分かる
そして、リビングのドアが勢い良く開く
熱で苦しいはずなのに来てくれたの…?
気持ちが溢れて止まらなかった僕を
テヒョンイヒョンはそっと抱き寄せる
そして、とん、とん、と背中を擦ってくれた
僕は素直にテヒョンイヒョンの温もりに甘える
僕の声を遮って、テヒョンイヒョンが口を開く
僕は涙でぐちゃぐちゃになった顔で
テヒョンイヒョンを見上げる
するとテヒョンイヒョンは僕の手を取って、
その手をテヒョンイヒョンの胸に押し当てる
テヒョンイヒョンはお日様みたいだ
いつも僕を温めてくれて、優しく抱き締めてくれる
僕はテヒョンイヒョンの前で大声を出して泣いた
今日の夜10時に後編公開し直します!
ぜひご覧ください!✨













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!