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第3話

“ 2
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2025/09/18 13:06 更新









失恋してから待っていたのは、紛れもなく地獄やった。





楽屋に戻ってすぐに見える光景。




そこにはいつも見ていたソファーのど真ん中で恭平と一緒にゲームをしていた長尾の姿はなくて。




ただ、


長尾謙杜
大吾くん、、寝癖なおらんねんけど、!!

西畑大吾
寝癖ついとっても謙杜は可愛いでぇ?♡♡

長尾謙杜
んぅ、//
そんなんっ、関係ないやろっ、!!//


目の前にある光景は、




誰が見ても少し引いてしまうほどのバカップルの姿。




いや、なんやねんこれ新手の罰ゲームかい。




なんて、この2人が付き合い始めてからツッコミが少々上手くなっている気がするのは置いておくことにして。




この気まずい空間をどう乗り切るのか。




それがここ最近の一番の悩み。




大西流星
ねぇみっちー、大丈夫、?笑



少し気を抜いた隙に、




俺の肩を少し優しく叩いて話しかけてきたのは、俺の長尾への気持ちを唯一知っていた、



カメラの前では彼女ポジなのに裏では圧倒的お兄ちゃんの流星くんで。


道枝駿佑
っわ、!、
びっくりした、笑


とはいえまあ誰でもびっくりするだろう。




ぼーっとしている時に急に肩を叩かれるし、、声をかけられたと思って目線を変えると目線の先にいるのは



多分ファンデ途中で半顔だけ白くなっとる状態やし。

大西流星
いや、びっくりしたって、、
みっちー、顔すんごいことなってんで、笑

道枝駿佑
ええ、そんなことない …
…いや多分俺今大吾くん睨んでましたよね

大西流星
気づいた、?笑


なんて優しく声をかけて笑っているけど、





多分、あの2人 ( 大吾くんと長尾 )を除いた他のメンバーは気づいていると思う。




流星くんが明らかに最近様子がおかしいってことに。





そして、流星くんの、





あの感情に。
























流星くんにある変化があったのは、ちょうどあの二人が付き合った頃。だったはずだ。




あきらかに違う、誰が見ても気づくほどの目の充血。




メイクポーチの中には、何故かゴミやどこから出てきたんっていうような、



はるか昔に大吾くんが流星くんに買っていた絶対に使用期限が過ぎているようなリップ。




あきらかに、様子がおかしかった。


大西流星
あれー、ビューラー忘れたぁ、笑


なんて笑ってマネージャーさんに借りてばかりいる姿は、あの日を境によく目にする光景へと変わって。




どうやったら忘れ物するん?ってくらいぱんっぱんなバックやメイクポーチを毎日持ってきてんのに、



バックの中にはよく分からんぬいぐるみが入ってたり。




いつもと違う、なんて不思議な感覚は。



高橋恭平
… 、りゅちぇ、、あのさ、



多分、あの恭平でさえ気がついていた。




流星くんがおかしいって。きっと。







メイクの途中に、鏡の前から居なくなることなんて、絶対にしなかったのに。




俺だって、メンバーだって、どんどん違和感を覚えて。




きっと、歯車みたいなもんが1つ。




流星くんの中の何かが、欠けたんやと思う。












道枝駿佑
好き、なんですか、?大吾くんのこと。



あの2人が付き合って、何日が経った頃だったろうか。




イチャイチャムードに耐えられなくて、自販機に逃げた時に、偶然流星くんと遭遇した時。




多分、今しかないって。




よく分からんタイミングやったとは思う。でも、それでも今しかないって、直感やった。


大西流星
… え、?笑


知らないふりをして、鼻で笑うようにして話を逸らそうとする流星くんは、目線を逸らして。




あれ、この人こんなに隠し事下手くそだったっけ。




なんて思ってしまうのも、当たり前だろう。




まるで、バレてしまった。って少し落ち込んでいて、少し、我慢をしたような表情を浮かべた姿で。




流星くんは俺を見つめていたのだから。





大西流星
ちょっと、違うとこで話せん、?




って、いつも通りを装う流星くんの表情は、強ばっていて、でもどこかほっとしているようで。




そして、俺の手を引く流星くんの指は、




少しだけ、ほんの少しだけ。




微かに震えているように感じた。















大西流星
好き、やったで。大ちゃんのこと。


連れてこられたのは楽屋からも、自販機からも離れた、




まるで俺らのこの会話をするためだけに作られたような、人通りが少なすぎる場所。



道枝駿佑
… やっぱり、そうなんですね、。




“ 好きやったで。” と、優しく笑みを浮かべる流星くんの声は、震えていて。




でも、俺の手を引く流星くんの指先は、温かくて。


大西流星
みっちー、今更気づいたん、笑



なんて、何故か余裕の表情を装う流星くん。




道枝駿佑
…… 、今更、っすか、笑


今更、ということはきっと。




流星くんは俺が予想してた以上に、大吾くんのことを想っていたのかもしれない。なんて、



俺の視野の狭さをここで痛感するなんて。って。



大西流星
うん、、… 今更。



震える流星くんの声と、指先は。




まるで、何かを伝えたいようだった。







大西流星
ずっと、、好きやったんよっ、



好きって感情は、ここまで人を変えてしまうんやって。




大西流星
大ちゃんがっ、ずっと … 、




好きという気持ちは、こんなにも辛くて、



大西流星
ずっと、好きやったんよ … っ、




こんなにも、その人が色褪せてしまうなんて。













俺は流星くんの涙を見るまで、










知らなかったんだ。











♡  …  85





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