ヒロインが遠慮がちに声をかける。
伊波が笑いながら言う。
本来なら今、ヒロインに向くはずの興味が、
なぜかこっちに来ている。
私は慌てて話を逸らす。
ぺこっと頭を下げるヒロイン。
伊波はヒロインを見る。
にこっと笑う。
少し安心した、その瞬間。
再びこちらに向かれた。
教えてもろくな事にならない気がする。
なぜだろう。
圧を感じる。
このままだと埒が明かない、
そう思ったとき。
ヒロインがいたずらそうに笑う。
名前を繰り返される。
というか、
そのやり取りを見てヒロインが楽しそうに笑った。
伊波が不満そうな声を出す。
また笑われる。
その時、廊下が少しざわついた。
廊下から聞こえる女子の黄色い声。
それを聞いて私は顔をしかめる。
着々とクラスに人も集まって来ている。
HRまでまだ時間もある。
これ以上、攻略対象たちが集まって来る前に、
教室から逃げようとした。
そう言い残して、ヒロインを連れて教室を出た。
今回は以上です












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!