あの後、獅子頭連と風鈴の何人かでタイマンするという話を聞いた。
乱闘なら私も入れたけど、タイマンなら無理だろう。
大人しく留守番したほうがいいのかもしれない。
きっと、行っても嫌な思いをするだけだ。
そんな事を考えながら、いつの間にか一夜が過ぎた。
明るくなった空をぼうっと見上げる。
決めたら即行動。
ちゃっちゃと支度を済ませてポトスに走った。
カランカラン
カウンター席に座りながら、ことはさんに「オムライス」と言葉をかける。
ここは焼きおにぎりも人気メニューの一つだし、ことはがオムライスを出してくれないなら食べるしかない。
沈黙が続く。
重い空気を振り払うように笹城が口を開いた。
頭が悪いわけではないんだろう。
的を射たところをついてくる。
ただ、空気が読めてない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!