第20話

鼓動を待つ魚。 XVI
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2026/04/23 12:00 更新



「水中で泳ぐ魚はね、ずっと待ってるんだよ。」





「炭酸が弾けるような、真夏の透き通ったレモンのような、そんな揺らぎをね。」





「ねえ、水面はさ。空か海かどちらなんだろうね。どちらの色に、近いんだろうね。」





「空は翡翠・・のように透き通って、海はく遠くに滲んでいてさ。」





「それが、ほんとうに、言葉では表せないくらい、美しかった。」





「水の中で生きる魚には、どちらもきっとわからないだろうね。」
















「ーーーいつかのどこかで生きる、言葉を愛した誰かへ。」





「こっちは、あいにくの雨でね。下水道みたいな、苦しくて重たい雨が降ってる。」





「だから、どうか。」




「あなたは、桜が咲き誇るいつかの春のなか、」





「何も奪われることなく、何も踏み躙られる事なく、どうか穏やかな場所で生きて欲しい。」





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