第39話

落花流水~episode 8~
430
2025/08/29 14:51 更新
〜ソン・チェヨン〜
初めて見たのは、何だったかな。
なにかのイベントで他校の行事を見に行った事があった。きっとその時だったな。綺麗な人だと思った。
チェヨン
チェヨン
ツウィ何してるの!
ツウィ
ツウィ
疲れたよぉ…
偶然近くに通ったんだ。
チェヨン
チェヨン
ん?
ツウィ
ツウィ
どうしたの?
チェヨン
チェヨン
いや…あの人
ミナ
ミナ
今よりずっと髪が短くて、高校生なのにクールで大人っぽい雰囲気を纏った彼女。ミナオンニだった。
ツウィ
ツウィ
綺麗な人だね
ツウィ
ツウィ
どうかしたの?
チェヨン
チェヨン
んーん…
見逃さなかった。身体の所々の不自然な傷跡を。
チェヨン
チェヨン
ごめんちょっとまってて!
だから追いかけてしまった。この頃から正義感だけが取り柄でトラブルに首を突っ込んでは先生に怒られてた。
ただ、この日だけは違ったのかもしれない。
ただただ、当時のミナオンニに惹かれたのかも。
だって、そのまま体育館裏に入った時に。
ミナ
ミナ
…辞めてください

大柄な男「あ?何言ってるんだよ当たり前だろ」
大柄な男「いつもみたいに身体で払ってもらわねぇと」

チェヨン
チェヨン
当時から身長が低かったのもある。それでもミナオンニよりも大きかったことをよく覚えてる。あまりの衝撃に、唖然としたまま動けなかったから。
ミナ
ミナ
…お父さんの借金なんて
ミナ
ミナ
なんで私が払わないといけ!

大柄な男「つべこべ言うんじゃねぇ!」
バチンッ

チェヨン
チェヨン
はっ…
一部始終を見ていたのに、何も動けなかった。
動揺したんだ。安易な気持ちで行ったから。
挙句の果てには…。

大柄な男「おい、誰かいるだろそこ」

チェヨン
チェヨン
!?

大柄な男「出てこい!」

不味いと思った。
…逃げなきゃって思った。
このままじゃ巻き込まれるって。
次の瞬間には全力で走っていた。
チェヨン
チェヨン
はぁはぁ
ツウィ
ツウィ
チェヨン?大丈夫?
人の多い所に行けばすぐにツウィが見つかった。
チェヨン
チェヨン
ツウィ
ツウィ
ひどい汗だよ?
チェヨン
チェヨン
ツウィ
ツウィ
チェヨン?
チェヨン
チェヨン
…帰ろう
ツウィ
ツウィ
え?
チェヨン
チェヨン
早く帰ろうって!
ツウィ
ツウィ
う…うん
ツウィ
ツウィ
分かった
チェヨン
チェヨン
はッ!?
その時、通り過ぎるミナオンニと目が合った。
あの男に、肩を掴まれたままの。
ツウィ
ツウィ
チェヨン…?
チェヨン
チェヨン
はやく!
チェヨン
チェヨン
早く帰るよ!
明らかな犯罪を目撃していながら。
何もせずに私は逃げたんだ。
チェヨン
チェヨン
帰ってからはテレビやスマホのニュースを手当り次第に探した。でもどの情報にもミナオンニは出てなかった。
つまり、未だにあの男に虐げられてる可能性が高いことを表している。
ママ「チェヨン!昔の写真が出てきたのよ」
「ちょっと見て見てよ!」
チェヨン
チェヨン
…うん!わかったぁ
なるべく気にしないようにした。
この時もまた…逃げたんだ。
でもすぐに、逃げられなくなる瞬間が訪れた。
ママ「これよ!懐かしいわね…よく遊んでたのよ?」
チェヨン
チェヨン
え…
写真に映るのは私と…幼い時のミナオンニだった。
チェヨン
チェヨン
この人…
ママ「覚えてない?ミナちゃんよ!」
「引っ越しちゃったんだけどね」
「お隣でよく遊んでくれてたのよ〜」
「貴方ミナオンニミナオンニって可愛かったわぁ」
チェヨン
チェヨン
とんでもないことをしてしまったことにこの時に初めて気づいた。私は…最低なことをしたんだって。
チェヨン
チェヨン
この人…
チェヨン
チェヨン
ミナオンニは今何してるの!?
ママ「今は知らないわねぇ」
「父親が居なくなってからは会ってもないし…」
チェヨン
チェヨン
お父さんが…
借金…大柄な男…。
きっとあの人は借金取りでお父さんは借金をしてしまったんだ…。そのせいでミナオンニは…。
その翌日、ミナオンニが居た学校に行った。
でも…もう見つけられなかった。
そして、友達を通して探ってもらったら転校したと。
そこからまた出会うまで…一度も会えなかったんだ。

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