〜ソン・チェヨン〜
初めて見たのは、何だったかな。
なにかのイベントで他校の行事を見に行った事があった。きっとその時だったな。綺麗な人だと思った。
偶然近くに通ったんだ。
今よりずっと髪が短くて、高校生なのにクールで大人っぽい雰囲気を纏った彼女。ミナオンニだった。
見逃さなかった。身体の所々の不自然な傷跡を。
だから追いかけてしまった。この頃から正義感だけが取り柄でトラブルに首を突っ込んでは先生に怒られてた。
ただ、この日だけは違ったのかもしれない。
ただただ、当時のミナオンニに惹かれたのかも。
だって、そのまま体育館裏に入った時に。
大柄な男「あ?何言ってるんだよ当たり前だろ」
大柄な男「いつもみたいに身体で払ってもらわねぇと」
当時から身長が低かったのもある。それでもミナオンニよりも大きかったことをよく覚えてる。あまりの衝撃に、唖然としたまま動けなかったから。
大柄な男「つべこべ言うんじゃねぇ!」
バチンッ一部始終を見ていたのに、何も動けなかった。
動揺したんだ。安易な気持ちで行ったから。
挙句の果てには…。
大柄な男「おい、誰かいるだろそこ」
大柄な男「出てこい!」
不味いと思った。
…逃げなきゃって思った。
このままじゃ巻き込まれるって。
次の瞬間には全力で走っていた。
人の多い所に行けばすぐにツウィが見つかった。
その時、通り過ぎるミナオンニと目が合った。
あの男に、肩を掴まれたままの。
明らかな犯罪を目撃していながら。
何もせずに私は逃げたんだ。
帰ってからはテレビやスマホのニュースを手当り次第に探した。でもどの情報にもミナオンニは出てなかった。
つまり、未だにあの男に虐げられてる可能性が高いことを表している。
ママ「チェヨン!昔の写真が出てきたのよ」
「ちょっと見て見てよ!」
なるべく気にしないようにした。
この時もまた…逃げたんだ。
でもすぐに、逃げられなくなる瞬間が訪れた。
ママ「これよ!懐かしいわね…よく遊んでたのよ?」
写真に映るのは私と…幼い時のミナオンニだった。
ママ「覚えてない?ミナちゃんよ!」
「引っ越しちゃったんだけどね」
「お隣でよく遊んでくれてたのよ〜」
「貴方ミナオンニミナオンニって可愛かったわぁ」
とんでもないことをしてしまったことにこの時に初めて気づいた。私は…最低なことをしたんだって。
ママ「今は知らないわねぇ」
「父親が居なくなってからは会ってもないし…」
借金…大柄な男…。
きっとあの人は借金取りでお父さんは借金をしてしまったんだ…。そのせいでミナオンニは…。
その翌日、ミナオンニが居た学校に行った。
でも…もう見つけられなかった。
そして、友達を通して探ってもらったら転校したと。
そこからまた出会うまで…一度も会えなかったんだ。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。