第33話

33.
2,445
2024/09/27 13:33 更新
あなた
僧帽弁閉鎖不全症…
猫田
(…!)
補助
僧帽弁閉鎖不全症…!?
猫田
(バイパス術とは全く関係ないわ)
猫田
(最悪のタイミングで…)
補助
ということは…
補助
僧帽弁置換術を行わないと…
看護師
あなたの苗字先生!血圧低下し続けています!







僧帽弁置換術を行うことに関してはなんの問題もない



だが,この手術を始めてからもう3時間は経っている。



通常のスピードで僧帽弁置換術を行うとなると4時間ほど人工心肺を回すこととなり,




心臓への負荷がかかり過ぎてしまう。



後遺症が残るリスクもある。




完全にタイムオーバーだ。



でもこの尋常じゃない血圧の下がり方…



手術しないと命が危うい…
あなた
…!





この間見た夢が蘇る
あなた
(大丈夫だよね)






起きていることは対処出来るはずなのにあの夢と全てが重なる


猫田
あなた…?
猫田
大丈夫? しっかりして!




やるべきことは決まっている。




早くバイパス術の残りを縫合し,僧帽弁置換術を行う。


でないと血圧は下がり続けて最悪死に…




わかっている,分かっているのに!
あなた
なんでだろ…
あなた
震えが止まらない…
あなた
(手が,動かない…!)
あなた
(早く,早くしないと)
あなた
(冷静になる,落ち着くの,落ち着かないと…!)






そんなこととは裏腹に手の震えは止まらない






恐怖の感情がまるで霧のように私を取り巻く



あなた
はあっ,はあ,
猫田
(あなたになら簡単に対処できるはずなのに…)
猫田
(まずいわ,完全に取り乱している)
猫田
(でも時間が迫って…!)
猫田
あなた,いつもやっていることをやればいいの!
猫田
何も考えることはないわ
猫田
とにかく手を動かして!
あなた
手が,手の震えが…
あなた
どうしよう,このままじゃ私…!
あなた
渡海先生を…
猫田
あなた,お願い
猫田
一旦落ち着いて
猫田
1回,深呼吸して
あなた
は,い…。




震えた声で返事をし,思いっきり深呼吸をする。





あなた
…!
…渡海先生の顔が思い浮かぶ。
渡 海
…どんな時も自分を忘れるな
あなた
そうだ…
あなた
そうだよ…。
私は一体何に恐れていたのだろう。










いつも通り,やってきた事をやるだけ。










あれはただの夢,無意識に同じ道を辿って勝手に取り乱していた。









私は私のやってきたことを信じて時間以内に手術を終わらせる。






















それだけだったんだ。



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