僧帽弁置換術を行うことに関してはなんの問題もない
だが,この手術を始めてからもう3時間は経っている。
通常のスピードで僧帽弁置換術を行うとなると4時間ほど人工心肺を回すこととなり,
心臓への負荷がかかり過ぎてしまう。
後遺症が残るリスクもある。
完全にタイムオーバーだ。
でもこの尋常じゃない血圧の下がり方…
手術しないと命が危うい…
この間見た夢が蘇る
起きていることは対処出来るはずなのにあの夢と全てが重なる
やるべきことは決まっている。
早くバイパス術の残りを縫合し,僧帽弁置換術を行う。
でないと血圧は下がり続けて最悪死に…
わかっている,分かっているのに!
そんなこととは裏腹に手の震えは止まらない
恐怖の感情がまるで霧のように私を取り巻く
震えた声で返事をし,思いっきり深呼吸をする。
…渡海先生の顔が思い浮かぶ。
私は一体何に恐れていたのだろう。
いつも通り,やってきた事をやるだけ。
あれはただの夢,無意識に同じ道を辿って勝手に取り乱していた。
私は私のやってきたことを信じて時間以内に手術を終わらせる。
それだけだったんだ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。