ふわっ
ザッザッ
桃太郎はあなたの名字に近付いていく
ひょい
桃太郎はあなたの名字を抱き上げる
ジタバタと暴れるものの
全然逃れられない
しっかりと両腕で抱き上げられている
桃太郎はそう言うと内ポケットから
手鏡をすっと取り出す
その鏡に映るあなたの名字は身体が小さく
とても幼い容姿をしていた______
衝撃的だったのか目を丸くし
固まってしまった
まるで行き場をなくした小動物のような
ザマになっている自分を見たくなくてなのか
あなたの名字は顔を隠す
桃太郎は手鏡を仕舞う
あなたの名字を抱き直し、頭を撫ぜる
慌てて探し回るが、結局見つからず
途方に暮れかけていた
ヴーッヴーッ
通話は淀川によって強制的に終了される
百鬼と朽森は
足並みを揃え歩き出した____












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!