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ノンジャンル
忘れられない嘘

　　　『　電子の歌姫　』

それは、一瞬にして人々を魅了した。

響かす美しい歌声、人間ではない儚さ。新たなる概念の誕生に、誰もが祝福した。

多くの人の心を、恋に落とした。

その名を

　　　『　初音ミク　』

しかしある日、匿名掲示板にて。

冷たく、歌えもしないキメラが造られた。

人を騙すためだけの、嘘に塗れ、ボーカロイドにもなれない偽物だった。

そのキメラの名前は＿＿＿＿

　　　　　　　　　　　　　『　重音テト　』

そのキメラは

歌う暖かさを

人に触れる優しさを

電子の歌姫と肩を並べる未来を

望んでいることも忘れてしまった。

これは奇跡か、偶然か。

神の悪戯か、それとも運命か。

それは誰にも分からない。

八月の終わり。秋の訪れ。

電子の歌姫は、生まれる。未来を今に変えた。

そして、

四月の始まり。嘘の訪れ。

嘘の歌姫は、一日限りの余命を＿＿＿＿＿＿＿＿

　『奇跡』に塗り替えた。