家でおとなしくしていると、インターホンが鳴った。
なんか頼んだっけ。
画面を見てみると、オーターさんが立っていた。
最悪。完全に忘れてた。オーターさんのこと。
まだ退勤の時間じゃないよね?わざわざ早退して追いかけたってこと?
…どうしよ。
居留守を使うわけにもいかないので、とりあえず応答した。
画面越しにくぐもった声が聞こえてきた。
もう嫌だ。上司にあんなことを言った手前、勝手に早退したんだ。
肩身が狭いったらありゃしない。
とりあえず今を乗り切りたい。
何か話し出してしまった。何を言うべき?
私は今はオーターさんの声を聞きたくない。1人でいたい。
上から被せるように名前を呼んだ。
オーターさんの声がぴたりと止む。
言うべきか悩んだ。乾いた唇を舐めて、とうとう覚悟を決めた。
画面を、いや、オーターさんの顔を見れなかった。
けれどきっと、傷つけてしまった。
そのままインターホンのスイッチを切った。
画面に背中を見せて、振り返らないままベッドに潜った。
きっと今日は悪夢を見る。
完全に嫌われてしまった。当たり前だ。あんなことを言ったんだ。
『私の気持ちも考えてください。』
その言葉が何度も脳内で再生される。
よく考えるべきだった。
少し考えたらわかるはずだった。
嫌だろ、体調が悪いのに気まずい空気で上司の話を聞くなんて。一方的に悪い人間の言い訳を聞くなんて。
なんて馬鹿なことをしたんだ私は。
せっかくツララに仕事を任せてもらったのに、悪化してしまった。
早退なんかせずにおとなしくデスクワークでもしておくんだった。
後悔があとからあとからと押し寄せてくる。
今さらどうしようもない。彼女の体調が治るまで待っていよう。
私は隣の家の扉を鍵で開け、楽な服に着替えてそのまま眠ってしまった。
何を見たか覚えてないが、悪夢だったに違いない。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。