第4話

70
2026/01/30 10:39 更新








  屋上じゃない。
  空は遠くて、校舎の壁がやけに高い。


  生き延びたんだ、私は。


あなた
  なん、で … なんで、
  飛び降りたのに … !!  


  言葉がうまく出てこない。  
  確かに、私は屋上から飛び降りた。
  あの高さからだったら確実に死ねるはずだった。
  なのに、なんで。



  剣持は私の言葉なんて気にもとめず空を指さす。
  私たちの真上、さっきまで私がいた場所。
  屋上の柵が小さく見えた。

knmc
knmc
  世界、続いているでしょう  


  淡々とした声。
  何かを誇るでも、怯えるでもない。


あなた
  … なに、いってんの  
knmc
knmc
  死んでも、今の世界と  
  案外変わりませんよ。



  私は、自分の心臓の音を数える。
  ちゃんとここにある。
  本当はこの心臓も、役目を終えるはずだったのに。


あなた
  何で私、死ねなかったの  


  問いというより、確認に近い声だった。
  なぜか、この人が理由を知っている気がした。
  剣持は少しだけ考えてから、
  肩をすくめる。


knmc
knmc
  さぁ。貴方が超能力者にでも  
  なったんじゃないですか?


  その言葉はあまりにも適当で、
  興味など微塵もないような声。
  でも、確かに剣持は知っている。
  この場には剣持しかいなかったから。





knmc
knmc
  じゃ、僕はこれで。  
あなた
  あっ …  




  『 待って 』と口に出す前に、
  剣持はいなくなっていた。






knmc
knmc
  死んでも、今の世界と  
  案外変わりませんよ。



  まるで、私が死んだ後の世界を
  知っているような口ぶり。

  あの言葉を思い出し、私の中で仮説が立った。



  

  彼は死神なのではないか。




プリ小説オーディオドラマ