第97話

hsyt 8181
323
2024/01/16 12:07
高校生設定です










優斗side









将来の夢




警察官、アイドル、芸人...

小さい頃は誰しもが夢を抱くだろう。



しかしいつかきっと

自分には無理だと
無謀だと気づく時がある。




でも...







ねね、優斗!



大きくなっても


「夢」を捨てない人もいる。


こいつのように。






優斗
だーー!なんだよさっきから!

いや、優斗にしては珍しく勉強してるなー...って


珍しくってなんだよ!!


優斗
まあ...来年受験あるし
へ~

他人事かのようにのんびり言うこいつの名前は橋本涼。
通称はしもっちゃん。

はしもっちゃんはなんと言っても...




あれ?こんなの習ったっけ?
優斗
いやいやこれ基礎は小学校で習ったよ!?


そうだったっけ...?


うん。

おばか...!


でもその分...



優斗
それで言いたいことって?
それ!俺今日ね、松葉杖の人の荷物持ったんだ!

いいでしょ~とにこにこ笑ってくるはしもっちゃん。

はしもっちゃんはちょっと、いやだいぶ
おばかな代わりにとても正義感が強い。

ここまではいいのだ。
ただ問題は


これでちょっとは「ヒーロー」に近づけたかなあ?

これだ。

はしもっちゃんは小さいときに見た特撮の「ヒーロー」に憧れ続けて今に至る。


優斗
はあ...はしもっちゃんは夢とかないの?
ヒーロー!
優斗
だから!そういうのじゃなくて...

うーん...言葉にするの難しいな



優斗
自分で自分の生活を支えていくための...
もうすぐ進路相談もあるだろ?
いつまでもヒーローばっかじゃ...

ううう...優斗なんでそんなこと言うの...?

そこまで言ってはっとする。
瞳を潤ませているはしもっちゃんにどう声をかけたらいいか分からない。


はしもっちゃんはまだ知らない。
人助けをしても必ず見返りが来るとは限らない。
それに感謝だってされないかもしれない。

汚れのない世界で生きるはしもっちゃんに
この事をいつか伝える日が来るかと思うと苦しくなる。



あ...優斗ごめん言い過ぎた...

俺が無言だったのを怒りと捉えたのか謝るはしもっちゃん。



優斗
いや、俺が悪かった...
優斗は悪くないよ
...あ、そろそろ時間だから帰るね!勉強頑張って!

そう言って出ていったはしもっちゃんの笑顔が
本心だったのかはわからない。


...駄目だな、俺も









翌日のHR
先生
えーでは二週間後の職業体験に向けて
一人ずつ要望がてら将来の夢言っていけー

窓側の席から一人ずつ言っていく。

公務員とか、有名企業だとか
そういうのが多い中で迎えたはしもっちゃんの番。


俺はー...ヒーローです!

はしもっちゃんがそう言うと教室は少し静かになる。



モブ
ヒーローて...wあいつ何歳?
モブ2
まじうぜーよな...いっつも偽善者ぶって

後ろの席の男子の会話が聞こえる。

もともとはしもっちゃんは男子に良く思われていない。
女子からは紳士と言われて好かれているが、それも気に食わないらしい。


先生
あ...ヒーローな、かっこいいよな

先生も曖昧な笑みを浮かべて次の人に移った。


次々と答えていき、いつの間にか俺の番になっていた。



優斗
俺の夢は...

あれ?





優斗
俺の夢、は...



俺の夢って






なんだっけ?






優斗
...まだ、決まってません

今の俺にはこう答えるしかなかった。







全員言い終わり、その後具体的にまとめる。
そして一人三枚ずつ、体験したい場所を紙に書いて投票する。

結果、選ばれたのは...




先生
教師と、カフェと...

次々に職業が言われていく。
どうやら一つの体験できる人数が少ない代わりに、多くの職業が挙げられるらしい。


最後に言われたのは...


先生
ヒーロー、だな

え?



後ろではクスクス笑う男子の声。
...嫌がらせか




そんなこととは露知らずに目を輝かせるはしもっちゃん。






優斗
ヒーロー...か









昨日に時間指定して投稿したつもりが出来てませんでした...
思いっきり投稿した気でいました...
本当にごめんなさい






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