【 ニーゴKAITO side 】
ダカが俯いた顔を上げるのに要した時間はほとんどかからなかった。それはほんの一瞬の出来事にしか過ぎなくて、すぐにパッと顔を上げて俺を見つめ直してきたからだ。
.......俺にとってのビカ、?
彼奴に対する感情は.........。
__考え始めてみると、パッとあの時見た光景がフラッシュバックされる。
ビカが俺を押し倒した時のあの瞳。あれは今思い出すと、とても焦っているように見えた。....ただ笑っているような、そんな表情だけじゃなかったと今気づく。
行為の最中も、ずっとずっと焦燥を滲ませたような様子で。とにかく必死のようだった。
それでも時折柔らかくなるあの表情も、全てが俺だけに向けられていて........。
いつも暇さえあれば、俺にダル絡みをしてくるビカ。
アイスをよこせだの何だの俺の隣でギャーギャー騒いで。
それでも休日になれば、誰よりも早起きをして。気紛れにパンケーキを焼いていたり。
甘党なのか知っていたのか知らなかったのか分からないが、俺の分だけハチミツをたっぷりかけていたり。
彼奴の明るい笑顔は、いつだって皆の雰囲気を和ませていた。
口数が少ない俺と彼奴とでは性格も全く真逆であるのに対して。いくら兄弟とはいえど、よくもまあ飽きずに毎日絡んでくるなと思っていた。
ビカが俺を抱きしめて、初めてが奪われている時。何度も耳元で「好き」と囁かれたあの言葉は...............。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。