【 ニーゴKAITO side 】
奪われてしまった。俺の最初が、1番目が。それも相手は自分と血の繋がった兄弟で。
酷く彼奴に染められてしまった気がする。この感情や思考回路、全てのものが。
行為が終わって少し肌寒くなってきたせいか、軽く自分の肩を抱く。
ベッドの上で俺と向かい合って座る目の前の彼奴に声をかけ。俯いている顔を覗き込むようにすると、互いの目が合った。
ぼんやりとしていた瞳が俺の姿を捉え始めると、やっとのことで焦点が合い。その瞬間、ビカは酷く驚き、動揺しているようなのか激しく瞳が揺れた。
だんまりしていた彼奴が突然口を開けば、そう謝罪をしてきたのだから驚いた。俺はなんと返せばいいのか言葉に詰まる。その間もビカは、落ち着きがないように何度も何度も「ごめんごめん」などと繰り返し。
......俺もここで簡単に許せるような、そんな心の広さは持ち合わせていない。無理矢理あんな事をさせられて...
俺が返事のため口を開きかけた直前、ビカは勢いよく立ち上がって。慌てたように服を羽織ると、逃げるように部屋を出ていってしまった。
俺だけがポツンと1人、部屋に取り残される。突然部屋に静寂が訪れ。
....先程のシーンが脳内で回想される。去り際、俺はビカの背中に誰よりも寂しさを感じた。抑えきれない悲しみを背負っていたように見えた。
何故だかその姿に、俺もグッと胸を締め付けられてしまっていることに気が付いた。








![# 攻略対象より悪役に惚れました . [ 冬司ver ]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/463Ienje96SMnaxqeg7tvIaFh9p1/cover/01K566339R5TNCGP01WCWNSK9G_resized_240x340.jpg)



編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。