第33話

死活問題
2,194
2025/08/23 03:00 更新
土井半助
土井半助
天女様・・・・いえ、雨ノ宮さん。
土井半助
土井半助
この度は生徒の命を救っていただいて、ありがとうございます。
あなた
子どもを守るのは当然です。
土井半助
土井半助
・・・・ご立派です。
あなた
・・・・ふふ。
土井半助
土井半助
あなた
すみません、この学園の方たちは本当に生徒を大切に思っているんだなぁと。
あなた
会う度会う人にお礼を言われます。
土井半助
土井半助
・・・・教師ですから。




その言葉に迷いはなかった。
本当に、根から教師気質なのだろう。


・・・・だからこそ、隠された警戒を感じる。


あなた
・・・・やっぱり、信用できないですか?
土井半助
土井半助
土井半助
土井半助
そんなことはっ!
あなた
隠さなくて大丈夫ですよ。
あなた
今まで警戒していた人をいきなり信じろ、なんて無茶な話です。
土井半助
土井半助
・・・・すみません。
あなた
もう、本当に人がいいですね。
あなた
謝らないでください。その警戒心は教師として、当たり前のものです。
あなた
これは学園長先生の受け売りですが、信頼とは押し付けて得られるものではありません。
あなた
みなさんが私を待っていてくださったように、私も待っています。だから土井先生のタイミングで信じてくだされば嬉しいです。
土井半助
土井半助
そう言っていただけると助かります・・・・



あなた
・・・・ときに、土井先生。




私は改まって声をかける。
これから言うことは、私にとって死活問題。
重要なことだ。


土井半助
土井半助
なんでしょう?
あなた
貴方は、低い声を出すことがありますか?
土井半助
土井半助
低い声?
あなた
低く、温度がない声で怒ったり・・・・などです。




例えれば、土井先生は少し考え込んだ。


土井半助
土井半助
いえ、そのような声はあまり出しませんね。子どもたちを怖がらせる原因にもなりますし。
あなた
そうですか、よかった。
土井半助
土井半助
なぜです・・・・?
あなた
ギクッ




言えない。
土井先生の声質が鬼舞辻にそっくりだなんて。
私の過去を聞いていた彼に言えない・・・・


あなた
その、土井先生の低い声を聞いたら・・・・



土井半助
土井半助
聞いたら?



あなた
き、斬りかかってしまうかもしれないです・・・・
土井半助
土井半助
斬りかかる!?
あなた
いや!そういった声を出さないのであれば、斬りかからないので!!
あなた
あくまで仮定の話ですっ!!
土井半助
土井半助
ほ、本当ですか。
あなた
はい!
あなた
と、とにかく!
あなた
出すなら私のいないところでにしてくださいね。
土井半助
土井半助
よく分かりませんが、分かりました。




・・・・ふぅ、これでひとまず安泰だ。


土井半助
土井半助
あ!




すると突然、土井先生はなにかを思い出したような声を上げた。


土井半助
土井半助
すみません、少し待っていてもらえますか。
あなた
分かりました。




どこかの部屋に入って戻ってきた土井先生は手になにか持っていた。


あなた
・・・・もしかして・・・・!
土井半助
土井半助
これ、雨ノ宮さんの刀・・・・ですよね。
あなた
そ、そのようですが・・・・なぜここに?
土井半助
土井半助
雨ノ宮さんが落ちてきたとき、手に握っていたんです。
あなた
握っていた・・・・
土井半助
土井半助
今まで預かっていましたが、教師になるということでこちらはお返しします。




私は刀を受け取り、じっと見つめる。
“滅”と彫られた刀に、目頭が熱くなるのを感じた。


あなた
ありがとう、ございます。
土井半助
土井半助
簡単に離れないほど強く握っていました。よほど大切なものなんですね。
あなた
・・・・はい、大切なものです。




城下町の拠点にあった刀よりも、何倍も手に馴染む。
これがあるだけで、私の心に強い安心感が生まれた。


ひどく感動する私を、土井先生は暖かな眼差しで見つめていた。


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