中間テスト1週間前
放課後
誰かが言った一言で、勉強会が決まった
場所は校舎の奥に生徒が勉強するためにある
大きい図書室
天井が高くて、机も広い、
なのに、放課後は意外と空いている
私は参考書を何冊も抱えて、
いつものメンバーがいるテーブルに座った
蓮くんが向かいに座る
蓮くんが問題集を解きながら言う
私が覗き込む
自然に説明が始まる
私がノートに式を書く
途中式も全部
どうしてそうなるのか、順番に
もう1回説明する
ゆっくり
今度は例題を変えて
気づけば周りが静かになっていた
隣の席に座っていた人達まで聞いている
向かいの蓮くんは真剣に聞いていて何も言わない
でも少しだけ口角が上がっている
自分のことみたいに誇らしそうに
その時、
背の高い先輩が数人入ってくる
2年と3年
空いている席に座った
少しして、
3年の先輩が声をかけてきた
一瞬、みんなが止まる
問題集を差し出される
3年の数学
難易度は少し上
私はページを見て、
と普通に言う
本当は塾だけじゃない
自分でもやってる
でもそれは言わない
説明を始める
図を描く
式を分解する
3年生が普通に納得している
2年生も混ざる
気づけばテーブルがひとつの円のようになっていた
学年はごちゃまぜ
でも中心は私のノート
蓮くんが小声で言う
私は普通に問題を解いているだけ
でも、ふと顔をあげると
謙杜くんもこっちを見ていた
静かに、まっすぐ、目が合う
ほんの少しだけ、柔らかく笑う
誇らしい、って顔
何も言わないけど、1番ちゃんと見ている
あの日の言葉が少しよみがえる
勉強会が終わる頃
3年生が言う
先輩たちが帰って行くと図書室が静かになる
蓮くんが机に突っ伏す
笑いが起きる
空気が軽い
でも私は少し疲れていた
その時、謙杜くんがペットボトルを差し出す
その水は冷たくて気持ちが良かった
図書室の窓から日差しが差す
赤く染まる机
今日は動物園じゃない
でも、机にいるのは同じ人
ちゃんと見ている人
私は少しだけ笑う
その声は静かだけど優しかった




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。