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第1話

00 _ Exit . ── 始 ま り の 予 兆 . 
25
2026/09/06 02:47 更新



 ⚠ 
 
 伽 羅 崩 壊 、

 口 調 迷 子







 ヨ コ ハ マ の 夕 暮 れ は 、
 い つ だ っ て ポ ― ト マ フ ィ ア の
 血 の 色 を 連 想さ せ る 。


 太 宰 治 
 太 宰 治 
 あ  ―  あ   。
 今 日 も ま た 、
 理 想 的 な 心 中 相 手 に は
 巡 り 会 え な か っ た な ぁ 。  


 探 偵 社 の 任 務 帰 り 。
 太 宰 治 は 、
地 下 鉄 の ガ タ ゴ ト と 揺 れ る
 車 両 の 中 で 、
 一 人 大 き な 溜 息 を つ い て い た 。
 吊 り 革 に 掴 ま り な が ら 、
 何 時 も の 様 に 包 帯 に 包 ま れ た 手 で
 ス マ ― ト フ ォ ン を 弄 る 。
 画 面 の 隅 に 表 示 さ れ た
 電 波 の ア イ コ ン は 、
 ア ン テ ナ が 3 本 、
 し っ か り と 立 っ て い た 。

 車 内 は 、
 夕 方 の 帰 宅 ラ ッ シ ュ が
 一 段 落 し た 時 間 帯 の 、
 独 特 の 気 怠 い 空 気 に 包 ま れ て い る 。
 太 宰 の 他 に は 、 数 人 の 乗 客 。
 新 聞 を 広 げ る サ ラ リ ― マ ン 。
 ス マ ホ に 没 頭 す る 女 子 学 生 。
 買 い 出 し 帰 り ら し き 、
 荷 物 を 抱 え た お じ さ ん 。


 太 宰 治 
 太 宰 治 
 ……  ん   .ᐣ 


 太 宰 は ふ と 、
 窓 硝 子 に 目 を 向 け た 。
 地 下 の 暗 闇 を 走 る 電 車 の 窓 は 、
 鏡 の 様 に 車 内 を 映 し 出 し て い る 。
 ―― そ の 、窓 に 映 っ た 景 色 に 、
 微 か な 違 和 感 が あ っ た 。


 太 宰 治 
 太 宰 治 
 ( ……   気 の せ い  、か な  .ᐣ ) 


 太 宰 は 目 を 細 め る 。
 窓 の 反 射 に 映 る 乗 客 達 の 顔 が 、
 な ん だ か ほ ん の 少 し だ け 歪 ん で 、
 の っ ぺ り と し て い る 様 に 見 え た の だ 。
 ま る で 、目 や 口 の パ ― ツ が 、
 そ こ に あ る べ き で は な い
 位 置 に あ る 様 な 。

 し か し 、
 太 宰 が ス マ ― ト フ ォ ン か ら 顔 を 上 げ 、
 直 接 シ ― ト に 座 る
 乗 客 達 を 肉 眼 で 見 る と 、
 其 処 に は 極 め て
 普 通 の 人 間 の 顔 が あ っ た 。
 サ ラ リ ― マ ン は
 疲 れ た 顔 で 新 聞 を 読 ん で い る し 、
 お じ さ ん は 眠 そ う に 目 を 閉 じ て い る 。


 太 宰 治 
 太 宰 治 
 ふ ふ   、
 疲 れ 目 で
 幻 覚 で も 見 え た か い 。
 私 も
焼 き が 回 っ た も の だ ね 。 


 太 宰 は 小 さ く 苦 笑 し 、
 軽 く 首 を 振 っ て
 そ の 違 和 感 を 頭 か ら 追 い 出 し た 。

 だ が 、
 彼 が 気 づ い て い な い 事 が も う 一 つ 。

 太 宰 の 視 線 が
 ス マ ― ト フ ォ ン に 戻 っ た そ の 瞬 間 。
 車 内 の 天 井 に 設 置 さ れ た
 電 子 電 光 掲 示 板 の 案 内 表 示 が 、
 一 瞬 だ け 真 っ 赤 な 文 字 で 、
 奇 怪 な 文 字 列 を 羅 列 し た 。




  『  次 は 0 番 出 口 . 0 番 出 口 .  』


 バ チ バ チ ッ  、 と 
 静 電 気 の 様 な 音 が し て 、
 文 字 は 直 ぐ に 




    「  次 は 、 ヨ コ ハ マ .  」


 と い う 通 常 の 緑 色 の 表 示 に 戻 る   。
 太 宰 は 画 面 に 集 中 し て お り 、
 そ の 一 瞬 の 赤 色 の 点 滅 に は
 全 く 気 づ か な か っ た 。

 プ シ ュ ――― 、と
 間 の 抜 け た 音 を 立 て て 、
 電 車 が 目 的 の 駅 に 停 車 す る 。


 太 宰 治 
 太 宰 治 
 さ て   、
 帰 っ て 国 木 田 君 に
 報 告 書 を
 押 し 付 け に 行 こ う か 。 


 太 宰 は 軽 い 足 取 り で 、
 開 い た ド ア か ら ホ ― ム へ と
 一 歩 を 踏 み 出 し た 。
 ヒ エ ッ 、と 肌 を 刺 す 様 な 、
 妙 に 冷 た い 空 気 が 太 宰 の 頬 を 撫 で る 。

 カ ツ ン 、と
 革 靴 が コ ン ク リ ― ト の 床 を 叩 く 音 が 、
 静 か な 駅 内 に
 必 要 以 上 に 大 き く 響 き 渡 っ た 。
 太 宰 が ホ ― ム に 降 り 立 っ た 直 後 、
 背 後 で 静 か に 電 車 の ド ア が 閉 ま る 。
 ガ タ ゴ ト と 音 を 立 て て 去 っ て い く
 電 車 の テ ― ル ラ ン プ を 見 送 り な が ら 、
 太 宰 は 、
 よ う や く「 決 定 的 な 異 常 」に
 気 が つ い た 。


 太 宰 治 
 太 宰 治 
 ……  お や   .ᐣ 


 静 ま り 返 っ た ホ ― ム 。
 つ い 先 程 ま で 、
 自 分 と 一 緒 に 何 人 も の 乗 客 が
 こ の 駅 で 降 り た 筈 だ っ た 。
 な の に 。右 を 見 て も 、左 を 見 て も 。
 広 い ホ ― ム の 何 処 を 見 渡 し て も 、
 自 分 以 外 の 人 間 が 、
 文 字 通 り「 一 人 も 」
 存 在 し て い な か っ た 。

 ま る で 、
 世 界 に 自 分 だ け が
 取 り 残 さ れ てし ま っ た か の 様 な 、
 不 気 味 な 静 寂 。

た だ 一 つ 、
 地 上 へ と 続 く 階 段 の 向 こ う か ら 、
 冷 た い 風 が ひ ゅ う ひ ゅ う と
 吹 き 抜 け て く る だ け だ っ た 。
太宰はスマートフォンの画面を見る。
 さ っ き ま で 立 っ て い た 筈 の
 電 波 の ア イ コ ン は 、
 い つ の 間 に か ──
 『 圏 外 』 の 二 文 字 に 変 わ っ て い た 。







…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ 

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