宣言から数日。
オフィスの空気は、少しずつ“日常”に戻っていった。
騒がれない。
特別扱いもしない。
それが、何より健全だった。
◆
午前の定例ミーティング。
🐰「この工程、来週前倒しできます」
🐯「根拠は」
🐰「外注先との調整が済んでます」
🐯「……了解。通そう」
やり取りは簡潔。
感情は挟まらない。
でも、そこには
対等な信頼があった。
誰も、そこに疑問を挟まない。
◆
会議後、部長がぽつりと言った。
「……いい関係だな」
それは、
恋人としてではなく。
仕事の相棒としての評価だった。
◆
午後。
クライアントとのオンライン会議。
説明役はグク。
質疑の補足はテヒョン。
言葉を被せない。
視線で理解し合う。
🐰(……近い)
🐯(……分かってる)
でも、それは
“甘さ”じゃない。
積み上げた時間の距離感だった。
◆
会議終了後。
「……さすがですね」
「安心して任せられる」
そんな言葉が、
自然にグクへ向けられる。
グクは、少しだけ息を吐いた。
🐰「……やっと、並べました」
それを聞いて、
テヒョンは短く笑った。
🐯「ああ」
🐯「最初から、
引き上げるつもりはなかった」
🐯「隣に来るのを、
待ってただけだ」
その言葉に、
グクの胸が静かに熱くなる。
◆
終業後。
フロアを出る直前、
テヒョンが低く言った。
🐯「……今日は、真っ直ぐ帰るぞ」
🐰「え?」
🐯「仕事は終わった」
🐯「あとは……」
一拍。
🐯「恋人の時間だ」
グクは、思わず小さく息を吸った。
🐰「……はい」
◆
並んで歩く帰り道。
まだ、人目はある。
だから、触れない。
近づきすぎない。
でも。
🐯「……よくやった」
ほんの小さな声。
でも、確かな労い。
🐰「……ありがとうございます」
その言葉が、
今日一番、胸に残った。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!