店の少し手前の曲がり角は、もう戦場のように人で溢れていた。
あちこちから聞こえる銃声、銃声、銃声。ナイフの音や、断末魔のような叫び。
風は火薬の匂いと生臭い匂いが混ざり合った異臭を運んできて、僕を翻弄しながら去ってゆく。
耳をすませば、色々な人たちの声も聞こえる。
殺してほしいと叫ぶ金切り声。空に吸い込まれてゆくような祈りの声。
何もわからずにただ泣いている子供の声も聞こえる。
────顔を伏せ、なるべく目立たぬように人の間を縫って走ってゆく。
こういう場所には「殺してほしい」「もういやだ」という感情がぴりぴりと渦巻いていて、通っただけで吐き気がしそうになる。
剥き出しの感情はまるで針のようで、僕は必死にそれを避けながら走りつづけた。
………なるほど、これじゃ確かに頭がおかしくなってしまいそうだ。
"彼"の言っていたこともあながち間違いではないな、と僕は薄く笑って、店へ向かうための最後の曲がり角を抜ける。
僕はもう、この状況で笑っていられるぐらいにはおかしくなってしまっていた。
店を出て、空を見上げる。
抜けるような青空は、僕に「全て夢なんだ。何もなかったように世界は終わっていくんだよ」と言っているようで、少し苛立った。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。