第19話

17【刀の記憶:3】
1,538
2023/07/13 12:00 更新
俺は、政府が大っ嫌いだった。
たとえ審神者の身体が弱っていても容赦なく命令して。
主の同期も、その愛刀達も、こうして何人もこの世から
去っていった。
それなのに、まだ続けるのが許せなくて。

一度だけ、主は政府戦争に参加しなかった。
それは第3回の闘い。
またこれもくだらない理由で始まった事。
その時は本丸の状態が安定していなくて、仕方なく参加を
下りた感じだったけど。
勿論、主の同期は戦場。
しばらくは、手紙のやり取りをしていたらしい。

戦争中、本丸にいる時間は、ほぼ1人だった。
主は部隊編成や手入れに追われていて。
いつもは離さず、俺を近くに置いておく。
が、その日は珍しく部屋の刀用の壁掛けに置いて1日が
過ぎた。
主の元を離れたのは、あの1日だけだった。

何故かひとりでいるのが寂しくて、苦しくて。
その時だけ傍にいてほしいと思ったのが、

不思議だったんだ。



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あの後、堀川と一緒に安定を追った。
隊長の部屋に近づいてくると、数人の声が聞こえて。

安定が顔を真っ青にして戻ってきたから、良い事態では
ないのだろうと、察しがつく。

堀川は部屋の外にいる和泉守に。
安定は部屋の中にいる長谷部に。
俺は部屋の前で話している燭台切と鶴丸に声をかけた。
加州清光
加州清光
っ…はぁ、はぁ…鶴丸、燭台切……!!
燭台切光忠
燭台切光忠
…!加州君…
鶴丸国永
鶴丸国永
おっ、と……こりゃ驚いた…
隠そうとしているのが分かるほどに、どちらも浮かない
表情をしていた。

その2人を見るに、増々不安になった。
隊長に何があったのか、この騒ぎはなんなのか。
いち早く知りたくて。
加州清光
加州清光
なんの騒ぎ…?
隊長になにかあったの…?
すると、鶴丸さんは俺の肩にぽん…と右手を置き、いつもと
違う、柔らかい口調で言った。
鶴丸国永
鶴丸国永
……まぁ、落ち着きな
鶴丸国永
鶴丸国永
この事は俺からは何も言えないさ
光坊に一部始終を教えてもらってくれ ニコ
加州清光
加州清光
なんで…
燭台切の方を向くと、彼はなんとも言えない顔をしていた。
哀しそうな、苦しそうな。
燭台切光忠
燭台切光忠
今はあまり話せない、かも…
明日、ゆっくり話してもいいかな… ニコ
加州清光
加州清光
え、?あ…うん
燭台切光忠
燭台切光忠
ありがとう… ニコ
そう言って、燭台切と鶴丸は長谷部がいる部屋の中へと
足を運んだ。

何故話してくれないのか、理由は分からなかったけど
2人の、特に燭台切の雰囲気からして、とてもそういう
状況じゃなかったのは流石に察しがついた。

2人が部屋へ入って行くのと同時に、安定が出てきた。
大和守安定
大和守安定
清光
加州清光
加州清光
、!安定
大和守安定
大和守安定
長谷部に訳を聞いてみたんだけど
今はそれどころじゃないから明日って…
加州清光
加州清光
長谷部も…?
長谷部も燭台切も、今日話そうとはしなかった。
只々ただただ気持ちが追いついていないのか。
それとも、話せない理由でもあるのか。

どちらにせよ、明日になれば全て分かること。
気になるが、あまり深く考えたら駄目だと思った。

すると続けて、堀川の声が聞こえた。
堀川国広
堀川国広
大和守さん、加州さん!
加州清光
加州清光
堀川、?
大和守安定
大和守安定
堀川、どう?聞けた?
堀川国広
堀川国広
いえ…兼さんもさっき来たばかりで
まだよく状況が分かってないと…
大和守安定
大和守安定
そっか…
騒ぎが起こってから駆けつけた和泉守が、何か事情を
握っているなんてやっぱりなかった。
きっと彼も、混乱状態だろう。
大和守安定
大和守安定
うーん…
大和守安定
大和守安定
長谷部達は話してくれないし
舞穪さんは部屋にいないし…
堀川国広
堀川国広
え?
加州清光
加州清光
え?ちょっと待って、今さ、なんて言った?
一瞬自分の耳を疑ったよ。

隊長が部屋にいない?なんで、どうして?
自室治療じゃないの?

意味が分からなすぎて、咄嗟に聞き返してしまった。
大和守安定
大和守安定
え?長谷部達は話してくれないし…って
堀川国広
堀川国広
そ、その次…!
大和守安定
大和守安定
舞穪さんは部屋にいない…?
加州清光
加州清光
なに、は?部屋にいないの?
大和守安定
大和守安定
だから騒ぎになってるんじゃないの…?
当たり前、という声色で安定は言った。
それもそうだ、安定は部屋の中にいる長谷部に話を聞きに
行ったんだから。
いるいないなんて、ひと目で分かっただろう。
堀川国広
堀川国広
じゃぁ舞穪さんはどこへ…
大和守安定
大和守安定
分かんない…
加州清光
加州清光
ッ……
そう、頭を悩ませ数分、また誰かが駆けつけてきた。
髭切
髭切
弟から騒ぎになってると聞いてたけど
これ程までとは…
大和守安定
大和守安定
髭切?
膝丸
膝丸
兄者、先に行かないでくれ
堀川国広
堀川国広
膝丸さんも…!
そこには内番姿の髭切と膝丸が立っていた。
髭切
髭切
やぁ、少し彼の行方が気になってしまってね
膝丸
膝丸
急にすまないな… ニコ
兄者同様、俺も少しな…
大和守安定
大和守安定
彼の行方…?
堀川国広
堀川国広
、?
2人の表情は燭台切と鶴丸同様、何処か曇っていた。

顕現して1週間しか経っていない彼らがこの部屋に来るとは
思ってもいなくて。
もしかして何か、何か知ってるんじゃないかと2人に
問いかけた。
加州清光
加州清光
…ねぇ、何か知ってるの?
膝丸
膝丸
…何も知らないと言えば嘘になるが……
髭切
髭切
僕らの部屋で休ませていたんだけど
気に触れてしまったのかな…
髭切
髭切
出ていってしまってねぇ…
堀川国広
堀川国広
お二人の部屋にいたんですか!?
膝丸
膝丸
ほんの少しだけだけ、だがな… ニコ
少しでも少しじゃなくても、部屋にいた事は変わりない。
隊長がそこにいたのなら。

俺は長谷部の元へ行こうとする彼らのうち、髭切の上着を
クンっと掴んで呼び止めた。
髭切
髭切
…?
加州清光
加州清光
……少し話、聞かせて
表情と声色で察したのか分からないが、少し間を開けて
了承してくれた。

それと同時に中々来ない兄を心配して見に来たのだろう。
膝丸が声をあげた。
膝丸
膝丸
兄者?行かぬのか?
髭切
髭切
ごめんよ、弟
先に話を聞いてておくれ
髭切
髭切
僕も少ししたら行くから、ね?
膝丸
膝丸
…承知した
髭切
髭切
ん、いいこ ニコ
髭切はそう膝丸に一言言ってから、俺の方に向き直った。
髭切
髭切
僕の部屋でいいかい?
加州清光
加州清光
…うん
堀川国広
堀川国広
ち、ちょっと待ってください…!
髭切
髭切
、?
加州清光
加州清光
堀川、どうかした?
堀川国広
堀川国広
僕も一緒に、いいですか…?
大和守安定
大和守安定
ぼ、僕も!
そう問いかけると、少し遠慮そうにしてもごもごと口ごもる
ように言った。
その後に続き、安定も同様。

俺は別に良かったけど、髭切がどうか分からなかった。
けど、彼は優しく良いよ、と言ってくれた。
髭切
髭切
うん、良いよ
堀川国広
堀川国広
、!ありがとうございます…!!
大和守安定
大和守安定
あ、ありがとう…!
髭切
髭切
さて、部屋に行こうか ニコ
俺と堀川と安定は、その後髭切の後ろを追った。

何故隊長がいないのか。
何故隊長が彼らの部屋にいたのか。
気になる事ばかりで。

大丈夫、大丈夫だ。
きっと折れてはない。

だって、あんなに強い、隊長なんだから。







𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭






熱中症でぶっ倒れてしまい投稿が出来ませんでした…
皆様も体調にはお気おつけ下さい。

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