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第2話

1日目
29
2026/05/20 00:28 更新


わたしは一人、屋上へ来た。




遺書は書いた。





無駄なもの思い出は捨てた。





だって、死ぬために来たのだから。







屋上特有の少し重たい扉を開ける。





そこには、夕日にたそがれている…
フリをしている女子生徒がいた。



少し高いところでハーフツインに結った髪の毛が夕日に照らされていて、儚げだ。




その子は靴を脱いで、フェンスの向こう側に立ち…






















みのり
みのり
ねぇ、やめなよ










愛莉
愛莉
誰…!?
みのり
みのり
何してるの?
愛莉
愛莉
…見たら分かるんじゃないかしら?
愛莉
愛莉
死のうとしているの

彼女は怯える素振りを見せず、淡々と話す。
 

わたし自身、どうして彼女に声をかけたのか分からない。



ただ、なんとなく、
先をこされるのが少し釈だった。





みのり
みのり
なんで、死のうとしてるの?
愛莉
愛莉
あんたには関係ないでしょ!


声を震わせて泣き叫ぶ。

そのまま、声を噛み殺して泣いてしまう。



愛莉
愛莉
悔しいのよ…!
愛莉
愛莉
アイドルとして認めてもらえなかったのが……
愛莉
愛莉
世間が必要としてるのは「バライティタレント」のわたしなのよ!
愛莉
愛莉
「アイドル」として、認められたかった……
愛莉
愛莉
それだけよ
みのり
みのり
そっか………


わたしは一呼吸置いた。


認められたかった…?
悔しい…?

ふざけないでよ………
みのり
みのり
ふざけないでよッ!!
愛莉
愛莉
っ!?
みのり
みのり
認められたかった?
みのり
みのり
「アイドル」でいたかった?
みのり
みのり
そんなことでわたしの先を越さないでよッ!!
愛莉
愛莉
そんな、ことって………!
みのり
みのり
自分が望まない方向になったって………
みのり
みのり
諦めさせられたことすらないくせにッ!!


わたしは半泣きで叫ぶ。

そのまま、彼女をフェンスから引き剥がす。


みのり
みのり
貴方、名前は?
愛莉
愛莉
……桃井、愛莉


彼女………愛莉ちゃんは渋々名前を言った。

みのり
みのり
そっか…わたしは、花里みのり。


流れで自分の名前を言う。


愛莉
愛莉
みのり、ね
愛莉
愛莉
貴方、案外良い人なのかもしれないわね
みのり
みのり
それは、ありがとう


愛莉ちゃんは微笑んでから、そう言った。


最初に見せた強張った表情とは裏腹に
優しく、幸せそうな顔を見せた。


愛莉
愛莉
わたし、もう少し生きてみるわ。
みのり
みのり
……そっか、頑張ってね
愛莉
愛莉
ありがとう!



そういうと、愛莉ちゃんは屋上の扉へと歩いて行く。


その行動を自然と目で追う。



そして、最後に、こう言ってから消えていった。






愛莉
愛莉
話したら楽になったわ。
愛莉
愛莉
ありがとう、みのり
って。




あーあ。今日は死ねないな

でも、明日がある。

明日が無理でも、明後日も明々後日もある。

それまでわたしは生きていなくちゃいけないけど。








屋上から出たとき、愛莉ちゃんは本当に幸せそうに笑っていた。



扉のガラス部分に写った顔しか見えていないから、
事実かは分からないけど。




よければ…!

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