第4話

新入生歓迎コンサート
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2025/05/15 09:00 更新
sm.side
鮫島碧(シャークん)
あーーーー、新入生の勧誘する暇あるなら定期演奏会に向けた練習してーーーー。どうせうちに来る奴なんて勧誘のための簡易コンサートなんざしなくても来んだろ。
鮫島碧(シャークん)
それに、仮にコンサートを聞いて入部したところで、周りとの実力の差ですぐに辞めるってぜってー。そんな甘いとこじゃねぇよ白尾の吹部は。
古川紅羽(Broooock)
ま〜ま〜そんなこと言わずにさ〜。本当は人前で演奏できることが超嬉しい癖に〜。
鮫島碧(シャークん)
ま〜そうだけどよ〜。

同じ中学出身だという同級生たちのそんな話を聞きながら、全体練習場所のホールに向かっていた。
時は放課後。
つい先日、新入生たちの入学式を終えたばかりの春先。昨日の5、6時間目にあった部紹介にて1曲披露したばかりではあるが、同級生の2人──碧と紅羽はもう既に人前で演奏がしたくて堪らないという様子だった。
かくいう俺も、うちのホールで人が聞く演奏ができるのが楽しみで仕方がなかった。

だが、俺が楽しみなのは演奏ができることだけではない。

唐突だが、全国クラスの実力を誇るうちの吹部はそこらの吹部と比べ少し──いや、かなり変わっていると思う。まぁ校内にホールがある時点で普通ではないけれど、そういうことではない。
碧の言っている簡易コンサートでは、俺たち在校生が演奏するだけでなく新入生たちも最後に、新入生たちのみで即興で演奏してもらうことになっている。一応参加条件があり、パーカスやコンバスは楽器を貸し出して、管楽器は楽器もしくはマッピやリードさえ持ってきていればいいわけである。この条件は既に部紹介時に明言している為、大抵の子達は持ってくるだろう。

俺はこれが楽しみで仕方がない。

そこで演奏する新入生達はほぼ間違いなく入部してきて、新たな仲間となるだろう。そして、その中にはとんでもない逸材も紛れ込んでいるかもしれないと思うと、ワクワクするのだ。

まだ顔も名も知らぬそいつの担当楽器は一体なんだ?

その楽器を始めたきっかけは?

どうしてうちに来る程吹奏楽にのめり込んでいるのか?

聞きたいことだって、沢山ある。


──早く、会いたい。

古川紅羽(Broooock)
ん?紫耀真、誰に会いたいの?

どうやら声に出てたらしく、紅羽に聞かれてしまった。恥ずかしい。

須崎紫耀真(スマイル)
いや、どんな新入生たちが入ってくるのか考えてたら、気分が上がったんだよ。
古川紅羽(Broooock)
あっはぁ!wほんと変わってるよね〜紫耀真は。
古川紅羽(Broooock)
──ま、変わってなけりゃここまで音楽にのめり込んでないもんねぇ。僕も、紫耀真も。もちろん、碧もね。
鮫島碧(シャークん)
おい、遠回しに俺も変人みたいに言うなよ
須崎紫耀真(スマイル)
実際うちで1年やれてんだから部外者から見れば圧倒的に変人だろ。
鮫島碧(シャークん)
そうか?別に普通だろ。
須崎紫耀真(スマイル)
いやいやいや普通じゃねぇだろお前去年同級生が何人やめたか覚えてねぇの?
鮫島碧(シャークん)
別に、興味無い。
須崎紫耀真(スマイル)
うわ。ほんとお前トロンボーンのこと以外興味無いよなお前。
古川紅羽(Broooock)
そう言う紫耀真は覚えてるの?
須崎紫耀真(スマイル)
いや別に。ずっと練習ばっかだからそもそもお前ら以外の同級生とか把握してないな。
古川紅羽(Broooock)
紫耀真も人のこと言えないじゃ〜ん。


そんな会話をしながらホールへと向かう。

古川紅羽(Broooock)
あれ、あそこにいるの水季と十青と黄生じゃない??おーーい!!やっほーー!!
鮫島碧(シャークん)
あ、おい!急に走り出すな危ないだろ!!
古川紅羽(Broooock)
ごめぇん!君たちは相棒の楽器を持ってるから急に走れないか!!
須崎紫耀真(スマイル)
俺は走らないからな。


まあ、どんなに新入生たちに興味があったとしても、こいつらといる以上に楽しいことは起きないんだろうな。なんとなく、そんな感じがする。


中村水季(Nakamu)
紅羽、勢い余って俺らにぶつかるなよ!?
古川紅羽(Broooock)
えへ、大丈夫だって〜。ほらちゃんと止まれたでしょ?
山瀬黄生(きりやん)
かなりギリギリだけどな
古川紅羽(Broooock)
えぇ!?判定厳しいーー!!
金女十青(きんとき)
まあまあ、ほら、早く行かないと集合に遅れるよ?
山瀬黄生(きりやん)
やべ、意外と時間ねーじゃん。おーい!紫耀真!!お前も早く来ないと遅刻するぞー!!
須崎紫耀真(スマイル)
あぁ、今行く。

さて、今日はどんな演奏ができるのだろうか、楽しみだ。

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