第9話

631
2026/02/23 13:56 更新
阿部side





あなたが一瞬だけ目を細めた






ふっかや舘さんがラウをからかって、ラウがそれに怒っているところを見て






…少しづつ、戻ってきてるのかな






本当のあなたの心が
辰哉
あ、そーえばあなた風呂入りたいんじゃない?
昨日から入れてないでしょ
あなた
…ふろ、?
ラウール
…お風呂のことだよ?
わかる?
あなた
…、わかります、
しかし、必要ありません
兵器に入浴は不要な行為…
自分をまだ兵器として認識してしまうあなたはそう言いかけたけど、ハッとした顔をして俯いた






あなたは…、どれだけ辛い思いをしたんだろう






さっきふっかからご飯も食べさせて貰えてなかったって聞いた





人間らしい生活を、全て奪われて…






この2年間1人でそれに耐えてきたんだよね…?






…あいつら、どこまで俺らの大切なものを傷つけたら気が済むの…っ?
辰哉
あなたは人間だから風呂に入るの
それに風呂入るのも大好きだったんだよ?
暖かくて気持ちいいからって
辰哉
阿部ちゃん
佐久間あたりに頼んでくれる?
亮平
わかった
俺は再び異能を使って、リビングにいるであろう佐久間の脳内に話しかける





俺の能力は電脳世界を作り出すことだから、他人の脳内にも干渉できるの






”佐久間、お風呂沸かして。
あなた入れさせたいから”







”はーいっ!”






”あと、着替えも用意してくれる?
多分、佐久間の服が1番丁度いいから貸してあげて”





”んにゃ、そっかぁ…
もうここに残ってるあなたの服じゃ小さいもんね…
わかった!用意するねー!”





”ありがとう”








佐久間からの返事もしっかり返ってきた






俺が脳内に干渉している間は、相手の伝えようとしたことも俺の電脳世界にまで伝わってくる






だから、俗に言うテレパシーみたいなことができるってこと
亮平
佐久間がお風呂と着替え用意してくれるって
辰哉
おっけー、佐久間ありがとな〜
聞こえてないだろうけど(笑)
ラウール
じゃあ、お風呂入るまでは僕とお話しよ!
ね!あなたちゃん!
あなた
…、はい
ラウール
やったぁ〜
ふっかさんがあなたちゃん独り占めできるのはもうおしまいね!
辰哉
なんだよそれ(笑)
亮平
じゃあリビング行く?
みんなもいるし
涼太
俺は翔太の様子見るために残るよ
辰哉
おーし、じゃあ4人で戻るか
舘さんなんかあったらすぐ呼んでね
涼太
うん
舘さんと翔太を残して、部屋をあとにする





翔太と舘さんはね、別に兄弟とかじゃないんだけど





ここに来るまでまでは2人で生活してたんだって





炎と水、それぞれ対極する力を源とする異能を持ってる2人がそうやって惹かれあったのは、





なんかロマンがあると思わない(笑)?
康二
お、みんな戻ってきたん?
リビングに入ると、康二が声をかけてきた
辰哉
舘さんと翔太はまだ向こうにいるよ
康二
あ〜、まぁ舘もすごく心配だったやろうしなぁ…
ラウール
あなたちゃんこっち!!!
ここ座って!
あなた
…、
ラウに急かされてあなたはソファーに腰を下ろした






家にこうやって家具が揃ってるのはふっかのおかげ






人と話すのが得意なふっかは、街の人から空き家とかの情報を手に入れてくれる






深夜に俺と佐久間と3人でそこに行って、家具とかを空間移動させてたんだ





佐久間は身体を分子化させて、部屋に入り込んで鍵を開けてもらうために一緒に来てもらってる







盗みをしている気分になって、嫌なんだけど…







でも、生きていくためにはこうするしかない







俺らは異能力者ってバレた時点で終わり






薫さんみたいな人はほんのひと握りしかいないんだから






…ほんっと、俺らが何したって言うんだよ
大介
阿部ちゃん
亮平
…、え、なに?
大介
考えてる事は分かるけど、めっちゃ顔に出てるよ
こーんな顔してた
そう言って佐久間がした表情は眉間に皺は寄ってるわ、





目はつり上がってるわ、






あからさまに不機嫌ですって人の顔
亮平
…はは、よくないなぁ、俺…(笑)
大介
…まぁ、俺も気抜いたらそんな顔しそうだけどね
一瞬佐久間の顔が嘘みたいに無表情になる





目に光がなくて、猫みたいに普段は上がってる口角も少し下がって…





でもその1秒後にはいつもの笑顔満開の佐久間だった
大介
にひっ、俺もあなたと話したいなぁ
亮平
…全部忘れちゃってるみたい、ふっかのことでさえ覚えてなかった
大介
…そっか
まぁ、でも優しい目してる
俺らを殺そうとしてた時とは全然違うね
亮平
さすがふっかだね
1日でここまで…
大介
…やっぱあいつはすげぇよ
みんな、ふっかに色んな意味で救ってもらってんだから
亮平
…ふふっ、うん
大介
…ふっかのことは、誰が救ってあげれるんだろうな
亮平
ふっかは…、自分の話全然しないもんね
いつも周り優先っていうか
今でさえ、あなたにずーっと話しかけてるラウとそれを困惑した顔で聞いているあなたを、





椅子に腰掛けて、微笑みながら眺めてる
…あなたなんじゃない?やっぱり
亮平
めめ…
大介
ふふっ、やっぱあなたかぁ(笑)
ほんとに溺愛しまくってるもんね(笑)
それは佐久間くんたちも変わらないと思うし、俺だって負けてない
大介
あははっ、確かにぃ(笑)
そう笑った佐久間は「あ、そろそろかも!」ってお風呂場の方に向かっていった





ここのお風呂ってすごいんだよ






舘さんがお風呂わかせるように自分の異能力を具現化した精霊みたいな子を置いてくれてるの






それと同じで翔太もそういう子を置いてくれてるから、彼らにお願いすればお風呂がわかせるってわけ
大介
あなたー!
お風呂湧いたって!入っておいで!
あなた
…、
あなたは無言で頷いて、佐久間の方へ





佐久間がここがこれで〜、とか、ここに服置くよ〜とか、色々説明してくれてる






しばらくすると佐久間が1人で戻ってきた
大介
全然大丈夫そうだわ(笑)
教えたら、ちゃんと頷いてくれる
亮平
よかった(笑)
…ふっか?
大丈夫?眠いの?
少し離れた所にふっかのことを心配そうに見てる照がいた
辰哉
…ん?
あぁ、いや、大丈夫よ
眠いなら寝ておいでよ
別に今日食料調達とか行く必要もないでしょ?
辰哉
…んや、ほんとに大丈夫だから
ごめんな(笑)
…なら、別にいいけど
確かにふっかの顔色が心做しか悪い気もする
亮平
…ふっか?
もしかして、さっきの異能力久しぶりに使ったから反動出た?
俺ら異能力者は無限に力を使えるわけじゃない





俺みたいに日常的に異能力を使ってるとだいぶ慣れてくるんだけど、






普通は眠くなったり、疲れやすくなったり、酷い時は熱が出たり…






その人によって反動は様々







まぁ、簡単に言うと薬の副反応みたいな感じかな






それに反動が出やすい異能力と出にくい異能力もある






例えば…、佐久間の”分子化”とか俺の”電脳世界”、康二の”植物”とかは出にくいタイプかな





逆にめめの”血液操作”とか照の”身体強化”、翔太の”治癒”は反動が強い方だと思う






ラウールに関してはまだ自分の力を上手く制御できないから使わせないし、





舘さんとかは割と自分の限界とかも分かってるみたいで、反動が出る前にストップできるんだって









ふっかの場合はよく出るのが”頭痛”で、「毒」を源とする異能力は反動が出やすいタイプ






しかもこういう反動って突然来るんだよね







さっき翔太の状態確認するために結構異能力使ってたから…






もしかしたらって思ったんだけど
辰哉
…あ〜、まぁね、少しだけ
辰哉
でも全然辛くないから大丈夫よ
そう言っていつも悪化させるの誰だよ…
さっさと寝てこい
辰哉
…嫌、って言ったら、?
…何、どうした?
辰哉
…あなたと、寝る
あなたが戻ってくるまで待つ
じゃあ、あなたが出てきて髪も乾かしたらふっかのとこ連れてくから
それじゃダメ?
辰哉
…やだ、
これもふっかあるある





異能力の反動で症状が出た時に割といつもへらへらしたお兄さんタイプのふっかが、






少しだけ弟っぽくなる(笑)
…わかったよ…、じゃあせめてここで寝て
ラウごめんちょっと場所空けてくれる?
ラウール
うん
ラウがソファーから降りて、ふっかを照が半強制的に横にする
辰哉
…ん、らう、ごめんな
ラウール
も〜、ふっかさん無理しないで
何も僕に謝る必要もないでしょ
末っ子に怒られて少し肩をすくめるふっか
辰哉
…ふぅ、…っ、
康二
冷やすもん作ろうか?
頼む康二
お願いしていい?
康二
おん、任せとき
to be continue…

プリ小説オーディオドラマ