第152話

本当のひまり
69
2024/05/02 06:31
(前回の最後、アイコン変えました)
凜side
濃藍 凜
濃藍 凜
う…嘘つきって…
ひまり?
ひまり?
嘘つきだよ。凜は。
絶句する私の耳朶じだに届いたのは、
纏う雰囲気と同じく仄暗い、感情のこもっていない声。

数学の問に答えるような淡々とした様子で、続ける。
ひまり?
ひまり?
ずっと自分を偽ってたくせに
ひまり?
ひまり?
一人で抱え込んでんのに、私達には
さも何も悩んでないかのように
振る舞ってたくせに…
次の言葉との間に少し、間が空いた。

何かをためらっているような、少し感情のこもった空白。

いつもの私ならその隙に反論していたはず。

なのに、できなかった。

私の口は、まるで瞬間接着剤でも付けられたかのように
閉ざされたまま、動かない。

それはきっと、ひまりの言葉のせい。

…もう後悔しないって、決めたはずなのに。

なのにどうして、私の身体は動かない?

…いや、答えは既に出ている。

きっと、
ひまり?
ひまり?
私に何かあっても、
気づかなかったくせに…っ!
ひまりの言葉が、声が、雰囲気が。

訴えかけてくるからだ。

「何故気づかなかったんだ」と、「苦しい」と。

そして、その台詞からすると…
濃藍 凜
濃藍 凜
ひまり、あんたやっぱり…っ!
ひまり?
ひまり?
そうだよ
何か抱えていたんじゃないか。

疑惑から確信に変わった問いを、ひまりの声が遮る。

その声はおぞましくて、苦しそうで。

先ほどまでと違って怖いくらいに感情的だった。
ひまり?
ひまり?
ずっと、ずっとずっとずーっと前から…
あんたが! 変わった時から!
ひまり?
ひまり?
私はきっとおかしかった!
とうの昔に私は狂ってたんだよっ!!
ひまり?
ひまり?
私は…私だって…っ
苦しさが増す。

絞り出すような、泣き出しそうな声。

その声が発した言葉は、

私が予想もしていなかったことだった。
ひまり?
ひまり?
私だって…変わりたかった…!
濃藍 凜
濃藍 凜
え…
理解できなかった。

私が変わったことを、このキャラ優等生でいることを
一番快く思っていなかったのは、ひまりだったのに。

そのひまりが、変わりたかった?

今の、明るいキャラを捨てて?
ひまり?
ひまり?
だけど…
さっきまでとは一転、トーンダウンしたひまりが呟く。
ひまり?
ひまり?
それじゃあ桃菓を守れない
その言葉は、私の心を大きくえぐった。

一番私が気にしていることだ。

私のことを桃菓が悔やんでいることくらい誰でも分かる。

でも私は、それを放置した。

このままじゃ駄目だと、必死だったから。

何もできなかった、とも言う。

私が変わってから和解するまでの何年もの間、
桃菓はきっと耐えてきた。

何故、桃菓が耐えれたのか?

それはひまりがいたから。

ひまりがいたから、桃菓は耐えれた。そして分かり合えた。
じゃあ、ひまりは?
ひまりは、どうなる?

何年もの間桃菓を支えて、自分の本性隠して。

周りは良かっただろう。全て解決したはずだ。

それなら、ひまりの心は?

ずっと支え、隠し、我慢してきた彼女はどうなる。

…いや、
___その結果が、今、ここにあるのだろう。
ひまり?
ひまり?
だから私は変わらない。変われない!
ふと、城での出来事を思い出した。

あの時の彼女は、どんな表情をしていた?

…そうだ、笑っていた。

シャノワールの言葉に、笑っていた。

その時私は、どう思ったんだっけ?

…あぁ、そうだった。



恐ろしかったんだ。

いつも明るく笑ってて、すぐ遅刻するけど
みんなを明るく照らす、太陽のようなひまり。

シャノワールに恐ろしい笑みで笑いかけた、
怖いくらいに冷たい、冷ややかなひまり。

本当のひまりは、
 
_______どっちなのだろう?
きっと、それは。

私には、分からない。

ただ、分かるのは、1つだけ。
ひまりは、誰よりも幼馴染を思っていたということ。
ひまり?
ひまり?
誰も傷つけさせないように!
あの子が傷つかないように!
ひまり?
ひまり?
もう、誰にも…
黙りこくる私に、ひまりは、絶叫した。

その振る舞いはひまりらしくなくて、
でも、どこか板についていて。

ただただ私は。
ひまり?
ひまり?
誰にも、傷ついてほしくないからっ!!
その叫びを、聞くことしかできなかった。
 
萌黄 ひまり
萌黄 ひまり
…っ
叫び終えたひまりは、
はっと我に返ったように目を見開いた。
濃藍 凜
濃藍 凜
ひ、ひま…
萌黄 ひまり
萌黄 ひまり
〜〜っ、ごめんっ!
私の震える声をはじき飛ばして、
ひまりが横たわっていたベッドから飛び降りる。

そして上靴も履かず、
靴下のまま保健室を飛び出していった。
濃藍 凜
濃藍 凜
ひま、り…
残された私は、彼女の名を呼ぶことしかできなかった。
そして、























数分後、夕暮れの街に轟音が轟いた。
 
アイスティー
アイスティー
は?
ミルクティー
ミルクティー
えーっと…轟音とは!?
(※現在ミルクティーはリレーで男子化しています)
主☆
主☆
…また次回!
アイスティー
アイスティー
ピーすぞ
主☆
主☆
こっわ
ミルクティー
ミルクティー
えっと、特に話すこともないし終わります!
それでは〜!

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