一方その頃……
ななもり達は遊園地中を走り回っていた。
3人でこんなに走り回っても姿さえ見当たらなかった。
3人は近くにあったベンチに腰を落とす。
久しぶりに走った事もあり疲労が溜まったのだ。
このまま見つからなかったら…という不安に襲われた。
どこからかリツキの声が聞こえてきた。
3人はベンチから勢い良く立ち上がり辺りを見渡す。
声はあの建物の裏から聞こえてきていた。
さとみはある建物を指差す。
その建物は整備されておらず建て直し予定地的な
場所で人があまり通っていなかった。
3人は建物に近ずき物陰からチラッと様子を覗いた。
胸を抑えて苦しそうにしているリツキがいた。
3人は急いでリツキに駆け寄り背中をさすったり
水を渡そうとする。
リツキはどうして3人が?という驚いた顔をしていた。
ななもりは優しくリツキの背中をさする。
少しずつリツキの呼吸が落ち着く。
3人はほっと胸を撫で下ろす。
リツキは気まずそうな顔をする。
何か話しにくい事でもあるようだった。
そんな様子を見かねた3人は深く聞こうとしなかった。
リツキは黙ったまま3人に着いて行った。
ジェルらはさっき乗ったジェットコースターの近くに
あるベンチに座っていた。
3人はジェル達に近付き、おーいと声を掛ける。
ジェルはリツキの姿を見るとばっと立ち上がり駆け寄る。
少しばかり暗い、何処か心配したような顔をしていた。
ジェルはリツキに思いっきり抱きつき泣いている。
リツキは驚きながらも優しく抱きつき返した。
ジェルは泣きながらリツキを抱き締め、一生懸命喋った。
そんなジェルを見たリツキは何かを決めたような顔をした。
ジェルは泣き過ぎてしまったからか
目が少し赤くなっていた。
リツキは優しく微笑みながらジェルの頭を撫でる。
アトラクションを指差し元気に言った。
どうやら、恐竜系のアトラクションの様で、
見ているだけで激しく動きそうな感じがした。
それからは、他のジェットコースターに乗ったり、
ホラーアトラクションなど色んな物に乗った。
気が付くともう日が暮れかけていた。
なんだが寂しい気もするがかなり楽しい思い出になった。
落ちていく夕暮れを見ながら、独り言のように呟いた。
あれから…数年後。ジェルらは高校を卒業した。
昨日が卒業式だった。ななもりとさとみは
相変わらず時よりジェルらを見ては目に涙を浮かべる。
冷静にツッコミをいれながらもすくっと笑った。
ジェルはあれから笑うだけでなく怒ったり泣いたりの
感情がよく出るようになった。
リツキがぼそりと呟くとななもりとさとみは
また目に涙を浮かべ始めた。
そしてジェルは少し面倒くさそうな顔をしながら、
リツキの方に視線をやる。
なんて呑気に良い、誤魔化すようにへらへらと笑う。
ジェルもそれにつられて笑った。
そして、ふと思い出したかのようにリツキを見た。
天井を仰ぎ、思い出に浸るように
懐かしいと言わんばかりだった。
ジェルは少し心配の眼差しを向けていた。
子恥ずかしそうに頬を掻きながらそう言った。
あの時はかなり心配されていたので、
言い出せなかっただけだったのだ。
ほっと胸を撫で下ろし、相手小馬鹿にするように
悪戯っぽく笑った。良かったと、心からそう思った。
仲良くそう雑談をしていると、
莉犬とるぅとがジェルの横からひょこっと顔を出した。
ジェルは少し驚きながらもどうしたのかとは首を傾げる。
三脚とカメラを両手に持ちながら、2人に問い掛ける。
もう準備は満タンの様だ。きらきらとした瞳を2人に向けた。
リツキは気を利かせ、ジェルの2人の兄に声を掛けた。
2人は振り返りジェルらに駆け寄った。
かしゃりと音が鳴り、無事撮れたのだろうかと、
るぅとと莉犬はカメラに駆け寄り、中を確認した。
そして、満面の笑みを浮かべながら、皆に写真を見せた。
すくすくと笑いながら、仲睦まじく雑談をした。
家族という、関係はとても温かいのだと、
そう改めて感じた。本当にこの家族で良かったと
思ったジェルであった。





















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!