アネの言う通りに進むと、今度はクリームっぽい、黄色っぽい色から紫系統へと色が変わった。
チームごとに決められてるのだろう。
今まで喋ってこなかったハオが突如声をあげる。
後ろのほうにいるハオを見るために皆が振り返る。
そこには、「鳥につつかれる」ハオの姿があった。
そういってリブが白く、一部が赤い鳥を捕まえようとした。
前方から小さく、だが通る声が聞こえた。
そして、その声の通りに皆は動きをやめた。
____鳥以外。
あの声から数秒後、ぶつぶつと呟きながら歩く女性がやって来た。
その女性とヒガンたちの目が合った。
ヒガンたちはハオ除く全員が「は?」という顔をした。
やめろ、と言われたから動かなかった。
なのに、出会ったら「なにをしている?」と言われる。
これで疑問に思わない事なんてあるだろうか?
その女性はハオの状態に初めて気づいたようだった。
また同じような事を言われた気がするが、ひとまずその鳥には何もしないでおくことにした。
ブチブチッといかにもな音を出して鳥がハオの髪を数本抜いた後。
そいつはどっかへぷらぷらと行ってしまった。
ハオは出会ったときのように、石像かのように静かになった。
____こいつも忙しいな。
すると女性は若干困った顔をしだした。
_______目は閉じたままで。
キキョウ。
そう名乗った彼女はセラとはまた一風違ったお嬢様だった。
言うならば、なんだろうか。
セラは「洋」で、キキョウは「和」といった感じだろうか。
____セラに関しては腹パンしてきたのでお嬢様とは言い難くなってきたが。
どちらにせよ、二人は似ているようで異なる存在だった。
ヒガンらはまたぽかんとした。
本当に、何を言っているのだろうか。
キキョウはツアキの言葉を理解するのに10秒必要だった。
そして、「ああ、あれのことね。」と話しだした。
するとキキョウは顔をしかめた。
リブが代表して答える。
ツアキがキラキラと目を輝かせる。
____ツアキ、ほんといろんなことに興味津々だな。
と、キキョウの誘いによって、ヒガンらは無事に情報チームに着くことができた。
が、そこに広がってるのは修羅場だった。
飛び交う暴言にキキョウはため息を吐いた。
キキョウはさもめんどくさそうに2人に近づいた。
キキョウの活躍により、喧騒は収まった。
というか、アレを止められるキキョウって一体何者………。
クロウは嫌そうな顔をする。
相当、さっきの奴のことが嫌いなんだろう。
クロウがそこで一息をつく。
まさかとは思うが、これで説明終わりとかは流石に______
………終わってしまった。
多分、10分も話してない。
なんなら話を聞くよりキキョウと話してた時間の方が長い。
ヒガンは、少しでも、それこそ「情報」を得るために、なんとか話を繋げようとする。
また腹パンを喰らう。
なお、威力はそこまで強くなかったので無視する。
一方、セラはキキョウから一言、言われていた。
先ほどより、すこし強くなったが無視をする。
心配をしたのだろう。
キキョウがヒガンに声をかけたが、それも無視する。
いい、情報が得られればいい。
好感度が下がろうと、得られればいい。
〈アレ〉に関係なくても、いい。
いずれどこかで役に立つから。
あたりの空気が少し変わる。
死体を食うとかいう少々グロテスクな話題になってしまったからだろうか。
そこには何とも言えない感情が漂っていた。
誰も手を挙げなかった。
では、行きましょう、と言ってキキョウは皆を誘った。
突如、天井から声が聞こえた。
スピーカーから流れる音声だった。
クロウは嫌々、といった感じでキキョウにもっとも近い人物を手招いた。
人物は礼で感謝を伝えた。
人物は、首を一回だけ縦に振った。
そして、その重々しい扉を開いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!