第10話

ときめきの記憶
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2024/12/19 14:24 更新
涼太Side
「ねえねえ、涼太兄、僕もおんなじことがあるって言ってたけどどういうこと?」
「ああ、それ僕も気になってた。」
「それじゃあ、長くなるかもだけどいい?」
「いいよ!」
「俺等も聞いていい?」
「兄さん達!」
「....。いいよ。」



昔から、僕ら双子は、翔太が全てだった。翔太がやりたいことをやって、翔太が食べたいものを食べた。翔太は小さいときから、ツンツンしていて、憎まれ口を叩く子どもで、本当なら嫌われるはずなのに、嫌われるどころかみんなから甘やかされて、チヤホヤされていた。一方、俺はそんな翔太とは違って、内気な性格だから家族以外の人と話すことなんて到底できなかった。毎年、お正月になると、親戚全員が集まるのが俺等の家のお決まりだった。でも、家族以外の人と話せない僕にとっては、このお決まりは、辛かった。いつもいつも、翔太と比べられて、いつもいつも、僕は苦しい気持ちになる。
「翔太ちゃん!久しぶり!」
「おれは男だ!ちゃんなんてつけんな!」
「まあ、いいじゃないの!」
「よくねえから言ってんだろうが!」
「...叔母さん、ご無沙汰しています。」
「ああ、いたの。」
「...。」
「ねえ、早くどいてくれる?私、今翔太ちゃんと話してんの。邪魔。」
「ごめんなさい。」
「はあ...。なんで、双子なのにこうも違うのかしら。ほんっとに、翔太ちゃんだけで良かったのに。」
「っ...。失礼します。」
「...。」
でも、こんな苦しい思いをしているところを助けてくれるのは必ず、翔太だった。
「...。はあ、本当にめんどくせえな。」
「っ!」
「そうよね。やっぱ翔太ちゃんもそう思うわよね!」
「なんで、そんなすぐに人を不快な気持ちにさせんの?」
「ほら、翔太ちゃんもそう言っているわよ!」
「ちげーよ。お前に言ってんだよ。そこのばばあに!」
「は!ば、ば、ばばあにですって!」
「ああ、どう見てもそうだろ。俺の大事な双子の弟の涼太のことばかにするやつは誰だろうと関係なく、許さねえから。」
「ふ、ふん!もういいわよ!」
「....。助けてなんて言ってない。」
「顔が言ってた。」
「顔が言ってたって何?」
「知るか。」
「自分で反撃できた。」
「ぜってー嘘だろ。」
「ほんと。死なない程度の半殺しにさせてた。」
「サイコパスかよ。お前、本当に根っこ黒いよな。」
「翔太みたいに、表に出さないだけまだマシ。」
「はあ!っるせえ」
「ほら、図星じゃん。」
「ほら、おばあちゃんに挨拶しに行くぞ。」
「うん。」
そして、翔太やお母さん、お父さんみたいに僕のことを愛してくれていた人がもう一人いた。
それがおばあちゃんだった。おばあちゃんは、僕ら双子のことをよく知ってくれていたから、僕も翔太も親戚の集まりのときは、ずっとおばあちゃんの隣にいた。
「おばあちゃん。」
「久しぶり。」
「ん?ああ、翔太と涼太か。よく来たね。1年ぶりかい?」
「うん、そうだね。去年のお正月ぶりだね。」
「なかなかあえなくて、わりいな。本当は、おばあちゃんに会いたいんだけど、なんせ兄弟が多いもんでな。(笑)」
「しょうがないさ。それに私は二人に会うのが1年の生きがいになってんだから。そんなしょっちゅう会われちゃ私の生きがいも意味なくなるよ。」
「(笑)。そっか。じゃあ、これくらいでいいね。」
「だな。」
「そういえばさっき、翔太の怒ってる声が聞こえたけど、何かあったのかい?」
「ああ、いや涼太のことをバカにされたからつい...。悪い、うるさかったか?」
「ううん。大丈夫だよ。ふふ。翔太は昔から涼太のこととなると言うことを聞かなくなるからね。」
「ほんとだよ。別に。翔太に助けてなんて言ってないのに。」
「お前、まだそれ言ってんのかよ!」
「あっ!今、俺に向かってお前って言った!」
「ああ、空耳だよ!」
「いいや、空耳じゃないね。聞こえてたよね、おばあちゃん。」
「いや、聞こえてなかったよね。おばあちゃん。」
「さあ、どうかねえ。」
「ええ!おばあちゃん!」
「そうだよねえ!」
「いや、聞こえてたかもしれないねえ。」
「だよね!」
「はあ!なんだよ!」


でも、こういう幸せな時期に限ってそう長くは続かないものだった。
2年後に、おばあちゃんが亡くなった。もともと、ずっと患っていた病気が悪化してしまい、良好にならずに僕らの前からいなくなってしまった。
そして、その半年後にお父さんは交通事故で亡くなり、その3年後にお母さんも死んでしまった。
おばあちゃん、お父さんが立て続けに亡くなってしまってからというもの僕は、何も考えられなくなった。僕のことを大事に思ってくれていた人たちが、僕のことを翔太と比較せずに一人の人間としてみてくれていた人たちがいなくなってしまって、精神的に苦しくなってしまったんだ。それから、僕は、学校にもいけなくなってしまった。部屋からも出れず、家族とも話せなかった。毎日毎日辛くて、自◯を考えてたくらいだよ。



「えっ、」
「本当のことだ。」
「翔太兄さん。」


でも、そんな苦しくてたまらない時期から助けてくれたのは、また翔太だった。


「おい、涼太。」
「...。」
「何も言わなくていい。今から俺が言うことに耳を傾けてくれといたらいい。」
「...。」
「いつまで、そこでこもってるんだ。さっさと出てこい。」
「...。」
「なんて、言ったところで出てこないのは俺が一番良く知ってる。辛いんだろ?おばあちゃんも父さんも亡くなって。でも、辛いからって、苦しいからって死んじゃだめだ。」
「!?」
「死んだら最後だぞ。母さんにやりたいことあるって言ってただろ。兄ちゃんたち、弟たちを勝手に何も言わずにおいていくって言うのか?俺と涼太を比べてたやつの視点になって考えてみろ。逃げたのかって思われるぞ。ああいう奴らは、涼太のことをよくわかってねえ。なんで、死んだのかも知ろうともしねえで勝手に自己完結しやがる。いいのか、それでも。それに...俺をおいてどっか行こうとしてんじゃねえよ。」
「えっ?」
「忘れたのかよ、昔の約束。」
「昔の約束。...あっ。」
『おれらはいつでもいっしょだからな!』
『うん!』
『死ぬときも一緒に死ぬんだかんな!』
『そんなことできるの?』
『できるの!おじいちゃんになっても一緒だぞ!』
『うん!約束ね!』
『ああ。約束だ!』
「結局、俺をおいていくのかよ...。(小声)」
「おいていかないよ、翔太。」
「...!?涼太!」
「ごめん、心配さちゃって。」
「気にすんな。」
「もう、二度と一人にはさせないから。」
「言ったな?」
「うん。」
「男に二言は?」
「あるわけないでしょ。」
「ん。」
「...ありがと。」
「なにが?」
「俺を連れ戻してくれて。」
「伊達に10何年も双子やってるわけじゃねえからな。涼太のことは俺が一番良くわかってるしな。」
「たしかに。」























(これからもよろしくね?)
(任せとけ。)







「「俺が一生をかけて守るから。」」

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