v「何やってんだろ俺。」
机の上には、
開きっぱなしの
テキストと赤ペン。
スマホが、ポン、と光る。
IGのストーリー更新。
大学の友だち。
居酒屋。
笑顔。
ピースサイン。
俺は画面を伏せた。
大学生活
人間関係
テスト
遊び
全部がキラキラしている。
あれが理想だった。
今日あの頃。
今は、どん底の海の中。
息がうまくできない。
俺は専門学校。
看護学生。
朝から晩まで授業、授業、授業…
苦しい。
忙しい。
でも、言ってる暇はない。
やらなきゃいけないことが、
山ほどある。
明日は最終日のテスト。
現実から逃げるみたいに、
小学生の頃好きだった
少女漫画を開いた。
こんな青春、
できたらよかったのにな。
男子校だった。
出会いなんてなかった。
今は看護。
女の子はいるけど、
異性として見る余裕もない。
男は少ない。
友達と呼べる人もいない。
学校では、ぼっち。
家に帰れば、母と妹。
安心できる場所かと
聞かれたら、
答えに詰まる。
食卓でぶつかるため息。
俺に向く苛立ち。
もう、うんざりだ。
どこかで安心したいのに。
安心できなくて。
不安を、
どこに捨てればいいのか
わからない。
どうすればいいの。
「…なにやってんの」
声がした。
顔を上げると、
ベッドの横に、
同い年の幼なじみ、
ジョングクがいた
v「えっ、な、っなに…?!」
jk「なにって…」
jk「ふつーに、きた…?」
v「いや、…えっ、
…数年まともに
話してなかった、やん…」
思わず方言が出る。
jk「いや、…おばさんに、
夜ご飯食べてって、
言われてさ…」
はぁ……また…。
v「お母さんがごめんね。
また言っとくよ…めいわk..」
jk「迷惑じゃないよ」
真顔で言う。
その視線が、痛い。
俺が勝手に、
迷惑だって
決めつけてただけ…。
jk「あー…またなんか考えてる」
次の瞬間、
体がふわっと引き寄せられて、
ベッドに倒れた。
抱きしめられる。
あたたかい。
jk「…テヒョン」
頭を撫でられる。
jk「頑張ってるよ。」
呼吸が止まる。
jk「なに、自分を追い詰めてんの」
……追い詰めてる?
俺が?
jk「よくやってるよ。
俺が1番わかってるから。」
その一言で、
何かが切れた。
涙が、
勝手に落ちる。
v「…っ、っく、…ごぇなさ、っ…」
jk「何謝ってんの…、
謝ることないじゃん」
v「じ、ぅん、に…っ、」
jk「そっかそっか…」
自分を追い詰めて、
ごめんなさい。
jk「泣きやめ。」
jk「今日は、とことん
話聞くから。」
困ったみたいに笑って、
ジョングクの指が、
俺の頬に触れる。
そのまま。
一瞬。
唇が触れた。
……え?
思考が止まる。
jk「…処理落ちおせー…」
v「…い、っいま…」
jk「俺の気持ち。」
v「きもっ、…きもちっ、て…」
沈黙。
頭が真っ白になる。
ジョングクは立ち上がる。
その背中が
遠くなるのが、怖くて。
俺は後ろから抱きしめた。
v「……ごめん…っ、ごぇっ…なさ、…」
jk「また、何謝ってんの…」
震える声。
なんで、って…
だって…だって、…
ジョングクが
好きだったから…
v「…っく、だぃ、すきなの、っ…」
jk「…っ…!」
もう一度、
抱きしめられる。
jk「もう…、謝んなよ。
そしたら、別れるからな」
v「…?!むっ、むり…」
jk「自分を許せよ、まず。」
v「……ハイ…。」
好きな人が、
彼氏になった。
この人がいれば、
どんな自分でも
許せそうな気がする。
___気がするだけ。
🐰🐻













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。